Sow The Seeds

介護の現場から リーダーのためのブログ

2017-01-01から1年間の記事一覧

人はなぜ生きていられるのか【安楽死の是非について】【死生観の授業10】

12月24日に放送された「TVタックル(テレビ朝日系)」で、安楽死に関するテーマを取り扱っていました。安楽死に関する本も出している、脚本家の橋田壽賀子氏をゲストに迎え、様々な意見が交わされていました。 安楽死で死なせて下さい (文春新書) 作者: 橋田…

「勤続10年以上の介護福祉士、月8万円の処遇改善」をどう考えるか【新政策パッケージ】

こんにちは、yuです。ここの所バタバタしておりまして、更新が滞っていました。申し訳ございません。さて、今更感もありますが12月8日に閣議決定された「新しい政策パッケージ」について。 リンク:経済対策等 : 経済財政政策 - 内閣府この中では、介護人材…

上司と部下の溝が永遠に埋まらない理由を、分かりやすく説明する

介護施設では(一般的な会社でも)、上司と部下の溝はつきものです。特に現場を離れた上司と現場業務に入るスタッフとでは、お互いの不満を陰で言い合っている事は珍しくないでしょう。 現場職員「どうせ現場のことなんて知らないくせに、好き勝手言いやがっ…

成長できる人が必ず持っている資質と、それを活かすための教育プログラムとは?

こんにちはyuです。今回は、接遇やサービスマナーに関する人材育成についてです。どのような仕事でも、ある程度経験を重ねた人であれば必ず後輩や部下を持つようになります。組織の目標を達成するために、より良いサービスを提供するために、部下を教育をし…

自然死は苦しくないらしい、延命治療や延命介護さえ行わなければ…【看取り・死生観の授業9】

今回は看取り介護についてです。以前私は、無理やり食事介助は時代遅れですし、利用者を苦しめるだけだという主旨の記事を書きました。 www.sow-the-seeds.com 終末期における無理な栄養・水分摂取は、心不全、痰がらみ、肺水腫などを悪化させる原因にもなり…

職員同士のトラブル、公平なジャッジは可能か?【後編】

前回の続きです。前回は、職員同士のトラブルを仲裁やジャッジをするのに、証拠頼りになり過ぎてもいけないですし、上司としては日頃の部下の言動を観察しておきましょう。ジャッジされる側も、信用されるかどうかは日頃の行いが大切ですよ…と言うお話でした…

職員同士のトラブル、公平なジャッジは可能か?【前編】

こんにちは、yuです。職場で時々おこる職員同士のトラブル。人間ですから、ちょっとくらいの不仲は全然良いのですが、それが嫌がらせなどに発展して仕事に支障をきたすようだと考えものです。私も中間管理職のような立場上、よく仲裁に入ることがあります。…

暴れる利用者と身体拘束の問題。悩んでいる介護士さん、管理職さんへ

とあるブログで、このような記事を見つけました。 www.kaigosos.com 要約すると 認知症ゆえ歩き回り転倒や異食を繰り返す利用者がおり、現場は対応に苦慮し疲弊していた。マンツーマン対応にも限界がある。 会議にて、限界だと上層部に訴えるも真剣に取り合…

『死』について、利用者と腹を割って話したとき・・・の話し【死生観の授業8】

こんにちは、yuです。皆さんは、施設を利用するお年寄りと「死」について、本音で語らったことはありますか?死というとネガティブなイメージが先行して、タブー視されている雰囲気があります。下手な事言って相手を傷つけてもいけないですし、思わず口をつ…

私が部下の残業届を書く理由

こんにちは、yuです。なんだか最近、残業シリーズみたいになってしまって申し訳ありません。残業にまつわる話はひとまず今回で最後にしたいと思います。関連過去記事▼ ウチの施設の場合、残業届は申告制です。各自が残業する必要があると判断した時に、上司…

「残業する権利」という考え方もある

これまでにも、残業に関する記事をいくつか書かせていただきました。過去記事▼www.sow-the-seeds.com www.sow-the-seeds.com 残業は少ない方が経営的にも働く人の健康的にも良いことは今更言うまでもありません。ですが私は「残業=悪」とも思っていません。…

勤務表を作るということは権力である【作成時のマイルール】

以前書いたこちらの記事▼リーダー的立場の人に必要な「公平性」や「規律」について色々語った記事です。www.sow-the-seeds.com 役職が上がると、自分でも知らず知らずのうちに権力や既得権を持つようになります。この権力を無自覚に誤った使い方をしないよう…

「私は自らを身体拘束していた⁉︎」介護施設の実地指導にまつわるクダラナイ話

実地指導。2〜3年に1回、都道府県の職員が介護施設に赴き、会計上の事や介護報酬請求の事、サービス内容の事など、適正に運営がされているのかチェックしに来ます。うちの法人も今年度は検査対象になってまして、先日無事に検査を終えました。介護保険の制度…

延命治療ってどんな事をするの?【死生観の授業7】

こんにちは、yuです。お年寄りが急な体調不良などで救急車を呼んだ時、救急隊から必ず聞かれることがあります。「延命はどうしますか?」うちの施設では入居時にいざという時の意向は聞いていますが、入居してしばらくすると古い情報になるため、このような…

介護士の残業代、皆どうしてます?

先日、部下が秋祭り実行委員長の仕事をしていまして、一緒に残って仕事をしていました。色々教えたり確認したりしながらやっていたのですが、作業に目処がついた所であとは部下に任せ、私は先に上がりました。それから数日経ってから残業届を出させてなかっ…

『寄り添うケア』は皆を惑わせる呪文

寄り添うケアがしたい!寄り添うケアが出来ない!寄り添うケアをしなさい!介護の世界でよく聞くこの言葉。合言葉のようになっています。この業界に入ったばかりの人は「こんなはずじゃなかった。もっと寄り添うケアがしたかった」と嘆きます。管理監督する…

介護リーダー・主任に知っておいてほしい11のキーワード

リーダーの仕事は何かと聞かれると、一言で表現するのは中々難しいのものです。例えば勤務表を作るという仕事。リーダーは、毎日安定したサービスが提供出来るよう人員配置をしなくてはなりません。また職員の働く環境にも留意しなくてはなりません。勤務表…

ある戦略的には「従来型施設の方が新しい」のかもしれないという事実【ユニット型か従来型か】

従来型施設かユニット型施設か・・・利用者にとってどちらが良いのか、働く人にとってどちらが良いのか、国のあり方としてどちらが良いのか・・・これは日本の介護施設の抱えるテーマの一つでもあります。様々な視点からメリットデメリットを論じることが出…

介護現場を数字でマネジメントしてみよう【入浴介助の適正人数の計算】

こんにちは、yuです。ここのところ公私ともに慌ただしくしておりまして、久しぶりの更新となってしまいました。すみません!以前、介護現場を数字でマネジメントする方法として、勤務の組み方にまつわる記事を書きました ▼ www.sow-the-seeds.com 私が、しつ…

組織図を見れば大体の問題がわかる【事例】

こんにちはyuです。唐突な問いかけですが、普段仕事をしている中で組織図って意識していますか?このブログで私は組織マネジメントについてよく論じていますが、特に「組織図」については強い思いがあります。これまで多くの組織内の問題事を見てきましたが…

勉強会は準備が9割!気をつけておきたい7つのチェックポイント【体験談】

こんにちはyuです。先日、近所の小学校の授業にお邪魔し勉強会を開催してきました。というのも、近々そこの小学生が「交流会」という形でうちの施設に来る予定があるため、事前に介護やお年寄りに関して色々と説明をしてほしいという依頼があったのです。大…

統計・歴史・心理学からみる、少子化の原因と豊かな社会に関する考察

少子高齢化の加速は誰もが認識している社会問題の一つです。今までの記事でも紹介した通り、急速な長寿化が進み高齢者で溢れかえった人口構造と、それにかかる社会保障のお金、当然国は若い人向けに十分なバックアップをすることが出来ない懐事情、ますます…

ヒト本来の寿命は50〜60歳という生物学的視点【書籍紹介・安楽死・死生観の授業6】

現在、日本における平均寿命は男性は80.79歳、女性は87.05歳。その昔、織田信長は「人生50年」と言ったそうですが、いま人生を50年と考えている人はほとんどいないでしょう。ある生物学者の方はこのように言っています。 サイズの生物学というのですが、大き…

職場で徒党を組んだりイジメをしたりする人達は「仕事=〇〇〇〇〇」を分かっていない

集団で仕事をしていると、やたらと徒党を組みたがる人達がいます。それは派閥になったり、自分たちに都合の悪い人を排除しようとする手段を選ばぬイジメになったり、仕事そのものよりも上司の顔色を優先させた判断をしたり…そのような言動には「あのー、仕事…

介護施設に監視カメラは必要か【老健それいゆ、利用者死傷を受けて】

岐阜県高山市の介護老人保健施設「それいゆ」で、7月末から5名の利用者が立て続けに死傷するという事故(事件?)がありました。 www.sankei.com 虐待が疑われている職員は、問題が公になる直前に退職をしたそうですが、その職員が白か黒かという事について…

戦力の逐次投入という愚策について(ユニットケアにおける人員配置)

「戦力の逐次投入」歴史や近代史に詳しい人であれば聞いたことがある人もいるかもしれません。軍事における言葉でして、良くない戦術の一つとして有名です。 失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫) 作者: 戸部良一,寺本義也,鎌田伸一,杉之尾孝生,村井…

部下からの「耳の痛い話」が嬉しい

問題の大小に関わらず、部下から嫌な報告や指摘を受けることがあります。例えば私自身の問題。仕事に対する姿勢であったり、施策に対する反対や、部分的な指摘であったり。例えば部署の問題。事故やクレーム、職員間の問題、知りたくなかった職員の汚い部分…

「何人いれば足りるの?」介護現場を数字でマネジメントしてみよう。という話

こんにちは、yuです。この業界に身を置いていますと、皆「いかに良い介護をするか」という介護士個人の技術論に興味が偏りがちな印象を受けます。しかし介護のような労働集約型の仕事の場合、良いサービスを提供するためには「現場の労働力をどのように分配…

老人ホームで、季節行事やレクリエーションをやる必要があるのだろうか?【社会保障】【後編】

前編の記事では 介護保険制度は徴収した保険料だけではサービス供給ができないため、給付の50%は公費で賄っている。 国家予算の1/3は社会保障関連であり、これは他の項目を大きく上回る比率。 社会保障給付費の規模は年々膨れ上がっており、解決のための出…

「仕事の報酬は仕事」は強者の論理

「仕事の報酬は仕事」とは、ソニー創業者の一人である井深大氏が言った言葉です。*1ソニーといえば、故スティーブ・ジョブズ(アップル元CEO)もあるインタビューの中で「本当に偉大な、日本のコンシューマーエレクトロニクスの会社があって、それがポータブ…