リーダーの仕事は何かと聞かれると、一言で表現するのは中々難しいのものです。
例えば勤務表を作るという仕事。
リーダーは、毎日安定したサービスが提供出来るよう人員配置をしなくてはなりません。また職員の働く環境にも留意しなくてはなりません。勤務表を作成するという作業は、これらのマネジメント行う上でちょうど良い作業です。
肝心なのは作業そのものではなく、勤務表の作成を通じて現場の毎日をより良くマネジメントするという「役割」を発揮出来るかどうかなのです。
業務(作業)は職場によって、役職によって様々でしょう。しかしリーダーに求められる役割は概ね共通しています。今回はリーダーの役割を発揮する上で念頭に置いておくと役に立つ、11のキーワードをご紹介します。
[目次]
1 . 導くこと
リーダーとはリードする人、すなわち導く人と言えます。
組織を導くためには「目標」と「具体的な計画」が必要です。目指すべき未来を考え提示すること、そこまでの具体的な方法を考え実践することが求められます。
ただし、「導く」という考えは時に傲慢を生みます。チームと協働する中で、自らもまた導かれていること、成長させてもらっていることを忘れないようにしましょう。
2 . 意思決定
ピーター・F・ドラッカーは「エグゼクティブの仕事は『意思決定』である」
これを借りるなら、リーダーの役割は意思決定と言えるのです。
日々起こる大きなこと、小さなこと、そこには常に意思決定が求められます。右に行くか左に行くか、皆で話合ったとしても最後はリーダーが決断します。誰のせいにも出来ません。
厳しい言い方をすれば、意思決定が出来ない人、その結果に責任が取れない人は、リーダーである必要がありません。
リーダーの役割は矢面に立つ事、と表現する人もいます。
正しい意思決定を下すためには、日頃からの勉強、試行、意思決定の方法を試行錯誤するなど研鑽が必要です。
3 . 仕組み
組織は、ある仕組みに基づいて活動をしています。それは公式のルールであったり、職場内の暗黙のルールであったり、業界ごとの慣習であたっり…
仕組みに沿って働くだけで、それで許されるのは一般職まで。リーダーは組織がより良く活動できるよう、仕組みづくりをします。
仕組みをよく理解し利用すること、時には仕組み自体を改革したり作り直すこと、環境に働きかけることが求められます。
4 . 公平性
大勢の職員が働く職場ですから、接し方にせよ、マネジメントする上での意思決定にせよ、公平性が大切です。
誰に対しても公平な態度で接すること、特定の人とばかり仲良くしないことも一つの方法です。公平に接し、満遍なく情報を得るように心がけます。公平な接し方は、周りの余計な不満を煽らないためのリスク管理とも言えますし、信頼を得るための手段でもあります。
何か判断に迷った時にも、公平性がある種の判断基準になります。例えば、Aさんのわがままを許す場合、Bさんが同じことをしても自分は同じように対応するのか、自問自答してみると良いと思います。
5 . 誠実性
[名・形動]私利私欲をまじえず、真心をもって人や物事に対すること。また、そのさま。「誠実な人柄」
リーダーに限ったことではありませんが、人間誠実が一番です。人様からの信用、信頼はタダではありませんし、それなくしてリーダーとしての施策も何もないでしょう。
部下に対して、上司に対して、ご利用者に対して、ご家族に対して・・・
誠実性のない人がリーダーとして人の上に立った時、利用者も職員も皆が迷惑被ることになりますから、登用する側も細心の注意が必要です。
6 . 規律性
規律というと堅苦しいイメージがあるかもしれませんが、そんな事はありません。組織が発展的に成長する、或いは今の良い状態を維持するためには規律が重要です。
著名な書籍でも、規律の重要性を説いたものは数多くあります。
部屋の乱れは心の乱れ、窓割れ理論、などのでも言うように、規律が組織の衰退を守る一要素でもあるのです。
余談ですが、私の所属する施設でもこの規律を司っているキーマンとも言える職員が数名います(私ではない)。
彼らが職場に無意識に与える良い影響は計り知れません。彼らのおかげで「仕事に対して誇りと緊張感を保った職場」が維持されています。
7 . 維持
職場の良い状態を維持する事は、家庭や夫婦関係にもよく似ています。
惰性で過ごし、日々のちょっとした努力を怠ると、段々と塵が積もり堕落していきます。現状を維持するだけでもエネルギーと気力が必要ということは知っておいた方がいいでしょう。
組織に利益もあり安定した良い状態だったとするなら、その状態を本当に維持できているのであれば、それは中々に凄い事です。
8 . 矛盾
本音と建前、言いたい事と言ってはいけない事、経営と現場、A案とB案、表の顔と裏の顔…
世の中には白黒ハッキリと割り切れない事が沢山あります。正しさは必ずしも一つだけとは限りません。
リーダーには、そうした矛盾を包括的に受け入れる度量が必要です。
過去記事参考▼
9 . 植物
人の成長も組織の成長も、植物が育つ様によく似ています。
画期的な方法で一発逆転などなく、今すぐ自分の思い通りになる事もなく、地道な毎日の行いの積み重ねであるという事です。
特に人材育成において、誰かの行動を修正しようとして躍起になっている時には注意が必要です。自分の思い通りにしようとしても上手くはいかないものです。相手を一人の個として尊重し、適度に見守り、待つことも時には必要です。
10 . 信賞必罰
良い仕事や良い行いには、それに気づき、賞してあげる事が大切です。
逆に悪い仕事や悪い行いには、それ相応の罰が必要です。
これを怠っては、前述した公平性も規律も保たれない組織になってしまいます。志ある職員が気持ちよく働けるような環境を作るために欠かせない要素です。
これを実践するためには「何が良くて何が悪いのか」、日頃からよく考え判断力を磨いておく事が大切です。
11 . 成果責任
立場が上がるほどに成果を問われるようになります。精神論で「頑張りました!」は通用しなくなります。
※とはいえ内実を無視して、数字に表せる成果を無理に飾ってアピールするのもあまり褒められたものではありませんが。
また、成果に対する責任も問われます。
よく何の責任も取らない人や、「部下が勝手にやった事で〜」と自らの責任を認められない人がいますが、立場が上がると組織の問題は自分の問題として責任を負う姿勢が必要です。部下のヘマを自分が謝れるくらいの事は出来なければはなりません。
さいごに
改めて振り返ってみます。
部下の育成やリーダーの育成と考えた時に、私はこの11のキーワードについては意識して伝えていかなくてはと考えています。これはリーダーの役割を発揮する上で大切にしてほしい、理解しておいてほしい指針みたいなものです。
しかしそれ以上の細かい部分のやり方ついては、部下に任せます。各々が自分の性格や特性を生かして自分なりのやり方でやった方が上手くいきます。細かい方法論を助言をする事はありますが、私のやり方はあくまで私だけのやり方であって、人に強制してしまうと所謂マイクロマネジメントに陥ってしまいますので、気をつけたいところです。