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職員同士のトラブル、公平なジャッジは可能か?【後編】

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前回の続きです。

前回は、職員同士のトラブルを仲裁やジャッジをするのに、証拠頼りになり過ぎてもいけないですし、上司としては日頃の部下の言動を観察しておきましょう。ジャッジされる側も、信用されるかどうかは日頃の行いが大切ですよ…と言うお話でした。

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仲裁に入る場合、事実関係の見極めや人の見極めがとても大切なわけですが、今回は私が普段どのような所で人の信用度を見ているか、指導する際の出口戦略、その他留意点などについて書いていきます。

 

[目次]

 

 

1 . 信用ならない人間、3タイプ

まず初めに、私が上司として部下を観察する時に、そのひとが信用における人なのかどうか、注意深く観察しているポイントを3つあげます。

① 人によって態度を変える人

一番注意深く観察するのがこれです。

人によって態度を変える人。

人間ですから多少の裏表はあっても良いのですが、絶対にダメなのが自分より立場の弱い人に横柄になる人です。

 
参考過去記事▼www.sow-the-seeds.com

上司への態度、部下への態度、利用者(高齢者)への態度、この違いをつぶさに観察します。

その他には上司がいる時の勤務態度、いない時の勤務態度の違いなども。


② 公私混同する人

私は、職場での友人関係、恋人関係、夫婦など、個人の付き合いに発展する事は悪い事だとは思っていません。

人と人との出会いですから、職場だろうがそうでなかろうが、素敵な出会いは大切にした方が良いと思います。

しかし、公私混同には注意が必要です。


例えば上司部下の関係にあるものが恋人だったとします。

上司が、恋人の部下をいつも優遇するようなことをしていたらダメですし、周りも納得しないでしょう。むしろ他の人より厳しいくらいのことが出来るようでなくてはいけません。

逆に、上司である恋人に対して職場でタメ口で話したり、上司に対する態度としては不適切なことをする人もいます。そのような言動は本人の信用を下げる事はもちろん、恋人の顔にも泥を塗ることになります。


③ 言っている事とやっている事が違う

こういう人もあまり信用出来ないですね。

キレイ事を言うけれど行動が伴っていない人。人の文句は言うけれど自分には甘い人。



職場の人たちをよ〜く観察し、このような人がいた時には私は注意して見ておくようにしています。

だいたい問題を起こすのはこの3タイプに当てはまる人です。

と言うか、この3タイプのいずれかを併せ持っている人が多いですね。共通しているのは自分を客観視する能力に欠けていると言うことでしょうか。

その人がどんなに個人仕事で能力があったとしても、介護施設の仕事は一人では出来ない仕事ですから。

過去記事より引用▼

3Kで離職が多いと言われるこの業界ですが、実は離職理由の1位は人間関係、3位は事業所への不満です。

互いを信頼し気持ちよく仕事が出来る環境というのは、組織をマネジメントする上で無視することのできない要素なのです。

互いを理解し感謝することにも、戦略が必要 - Sow The Seeds




2 . 職員を指導した時の出口戦略、3パターン

職員同士のトラブルの仲裁。どちらかが悪いと分かった場合、当然加害者側の人には反省し、改心していただかなくてはいけません。

対象となる職員を指導する際どのような結論が待っているのか、事前に3パターン想定しておきます。

パターン① 素直に反省し、やり直す

一番望ましいのは、自分のやったことを素直に反省し、その後の行動を改めてくれることです。

指導して、すんなりそうなれば幸いなのですが、相手も感情ある人間ですから、中々そうもいかない時も多いです。

いかにしてこの結末にたどり着けるかは工夫が必要です。例えば…

  • メンツを守る、恥をかかせない
    言いふらさない、皆の前で罵倒しない、仕事では公平に皆と同じ態度で接するなど

  • 悪人と決めつけない、逃げ道を残しておく
    良いところを褒める、良いところには感謝する、話を聞く、共感する、全面降伏しなくても許すなど

  • やり直せることを伝える
    指導されている職員は「もうこの職場には居れない」という位の恥ずかしい気持ちや絶望感を感じます。長い目で見ればいくらでもやり直せることを伝えるようにします


うまくこの結末に導けるかどうかは腕が問われるところです。

私の経験上、まぁ難しいです。特に中年の男性はプライドも高く、考えも凝り固まっているので考えを改めることができない事が多い印象があります。


パターン② 認めてはくれないけど、その後の行動が改まる

自分の非を認めない、認めつつも言い訳に終始するなど、スッキリとはしないパターンです。

ここでは、求めている結末じゃないからと、あまりしつこく追い詰めるような事はしないことが大切です。

加害者側が「ヤバいバレた!」「何かやったら上司が関与するんだ!」と気づいて、その後の行動を改めてくれればそれで良いのです。

この「何かあったら上司が関与する」ことを示すというのが大事で、悪いことをしても上司は何も関わらないと思われてしまっては、不誠実な人は調子に乗りますし、やられた方は泣き寝入りです。

そうならない為に釘を刺す効果が得られれば、結果としては十分です。


ここで留意しておきたいのが被害者側のフォローです。

加害者側が全面降伏の姿勢を見せない場合、やられた方は納得できない気持ちも強いと思います。その後の仕事環境や人間関係はどうか、定期的に確認して話を聞くなど、少しずつ事態が沈静化していくよう見守ります。


パターン③ 逆恨みする

もっとも避けたいのがこのパターンです。

上記①②のパターンで、あまり加害者側を追い詰め過ぎないようにと言ったのは、これも理由の一つです。

はじめのうちは上司が間に入って話を聞く、注意するくらいで済んでいたかもしれませんが、今後状況が悪化した場合に備えて、さらに上の者と今後の組織的な対応策(規程による処分、人事異動、警察への相談等)をある程度想定しておくことが大切です。

また被害者側の職員には、何かあったらその内容を必ずメモに取っておくよう指示を出します。



3 . 不誠実な職員に困っている人へ

ぜひ上司に相談する前から、なるべく早い段階から、やられた事をメモや日記に残しておく事をオススメします。日時や言動もなるべく具体的に。

というのも、上司はなるべく具体的な情報を欲しがります。その方が迅速に自信を持って対応が出来ますから。具体的な情報がないと「今は様子を見て何かあったら報告して」と様子見期間が長くなってしまいます。

そのぶん辛い期間も長くなります。

裁判などでも日記を証拠として出すケースがありますが、人に納得してもらう、動いてもらうためには書面になっているものは説得力があります。


また、書面に起こすことにはもう一つ使い道があります。

それは、加害者側に「我に返ってもらう」ための手段になるという事です。

加害者側に事実確認をする時、指導をする時、あえて書面に起こしたものを読み上げたり、見てもらったりするのです。

そうすると加害者は自分のした事を客観的に振り返ることが出来ます。そうするまで自分のした言動がどれほどのことだったのか気づいていない人がとても多いです。セクハラやパワハラなど特にそうです。



4 . さいごに

2回に渡って職員同士のトラブルとその仲裁に関する事を書いてきました。最後に注意点というか、私の思いを綴っておきます。

それは、仲裁なしには解決出来ない問題もあるが、結局最後は当事者同士の心の問題であり、仲裁者は万能ではないという事です。

当事者の納得、当事者の歩み寄り、当事者の努力なしには問題は解決しないのです。

いち上司、いちマネジャーとしてこうした問題と関わるとき、いつもその関わり方や距離感については難しさを感じます。やはりうまくいく事ばかりではなく、考えさせられることも多いです。

きっとこれからも、悶々としながらこうした問題に立ち向かっていくのだろうと思います。

誠実な人が働きやすい職場というのが、私の目標であり判断基準でもあります。

これからもブレないように頑張ります!