Sow The Seeds

介護の現場から リーダーのためのブログ

介護人材確保のために、人員配置基準の厳格化を提案したい【政策・経営】

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こんにちは、yuです。

ここのところ、どうしたら介護分野に働き手がより多く集まるのか(あるいは離れないか)、ということを悶々と考えています。

2025年問題*1に向けて、毎年6万人ペースで介護職員を増やさなくていけないと言われていますが…

結論から言います。

介護施設のサービスの質を維持したまま、介護人材を充足させたいならば、人員配置基準の厳格化をするべきである、というのが今回のお話です。

※ 2019/4/14、当記事に寄せられたご意見ご感想を追記いたしました。

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介護職の派遣、無資格未経験の是非について【介護現場マネジメントの観点から】

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他業種の事情は分かりませんが、少なくとも介護に関して、未経験の派遣職員を入れる事業所は信用できないと私は思っています。

否定批判のようなことはあまり言いたくないのですが、これも事業所の安定したサービス、安定した労働環境、延いては安定した経営を保つうえでの意思決定の一つの視点として考えて頂ければ幸いです。

私の所属する事業所でも、過去に未経験の派遣職員を巡ってトラブルになったことがありましたので、その経験も踏まえて、他でも同じ思いをさせないために。

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介護職員の適正な給与水準はいくらなのか

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この仕事をしているとよく話題になる『介護職員の適正な給与っていくらなの?』と言う問題。

昨年あった発表によると、現在介護職員の平均月給は全産業平均のマイナス6.5万円ほどだそうです。

厚生労働省は10日、昨年9月時点で常勤の介護職員の平均給与は月額30万970円で、前年同期より1万850円増えたと発表した。同省は昨年度行った介護報酬引き上げの効果などとみるが、全産業均と比べると約6万5千円低い。

調査は昨年10月、1万670の介護施設・事業所を対象に実施し、7908施設・事業所(約74%)から回答を得た。平均給与月額には賞与なども含まれる。

介護職、月給30万円に でも全産業平均マイナス6万円:朝日新聞デジタル(2019年4月10日)


併せて、少し時期が違いますが社会保障審議会で使われた資料も図が分かりやすいので貼っておきます。

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出展:社保審-介護給付費分科会 第165回(H30.11.22)

介護報酬によって価格をコントロールされている介護保険事業、報酬を上げるも下げるもお国のさじ加減一つで決まります。

介護のような収入単価がコントロールされている仕事では、適正な給与水準というのは、税収や財源との兼ね合い・政治力・他業種とのバランスなど、広い意味での社会的合意のもとで見出されていくものと思われますが、それゆえに様々な主張があって話がややこしくなることも。

一体いくら位が妥当なのか…

先に言っておくと『具体的な額は分からないが、現状の給与水準は不当に低い』というのが私の考えです。

今回はそんなお話しをしていきます。

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ユニットリーダー研修の功罪

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ユニットリーダー研修…というものがあります。

これは、一般社団法人ユニットケア推進センターが行っているもので、ユニット型特養の職員(ユニットリーダー)を対象に、ユニットケアとは何か、それを実現するためにはどうしたら良いのかなどを学ぶものです。
参考:https://www.unit-care.or.jp/about/business.html

ちなみにこの研修は、ユニット型特養であれば施設毎に、この研修を修了した者を2名以上配置することが運営基準によって義務づけられています(努力義務、減算等罰則はなし)。
参考:https://www.wam.go.jp/wamappl/kaigoServiceQA.nsf/vQA/F59D44EEB18EB9EA49257EC2001BC121

私自身もかつてこの研修を受けた一人です。この研修に大いに刺激をもらったり、奮闘したり、惑わされたりもしてきました。

今回は、ユニットリーダー研修にまつわる功罪について、今まで『罪』の部分ばかりブログに書いてきたので、今回は主に『功』の部分について語っていきたいと思います。

また、そこから派生して、介護の上手い人と下手な人の違いなどについても語っていきます。

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【事例紹介】煽る介護のリスク、奪う介護のリスク

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ツイッターより▼

先日このような事がありました。

悲しい笑い話なのですが、実はこれについては、腕時計購入に至るまでの経緯にちょっとした個人的思い入れがありまして。

「高齢者介護」「認知症ケア」特に施設生活におけるそれらを考えた時に、大事にしたい視点があるように思いますので、今回はそのお話しをさせていただけたらと…

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他職種に真似できない、介護職に求められる『洞察力』の正体

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第二次世界大戦当時、アメリカで活躍した数学者エイブラハム・ウォールド*1の有名な逸話があります。

当時、彼は軍からの依頼である調査をしていました。

その頃は、爆撃機のパイロットが生き残れる確率は5割ほどと言われ大変リスクも高かった時代。

軍は、敵の砲撃から機体を守るためには装甲の強化が必要だと考えます。しかし装甲全てを強化してしまっては機体が重くなってしまうため、そう単純にもいきません。

ウォールドは、機体のどこを優先的に強化することが、機体の性能を失うことなく安全性を強化できるのかという調査を行なっていました。

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【介護施設】清拭タオルの管理方法に関する調査結果

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こんにちは、yuです。

皆さんがお勤めの介護施設では、排泄援助の時に使用する清拭タオルはどのようなタイプでしょうか?

私自身この辺の事情には詳しくなくて、調べてみると以下の3タイプが多いようです。

  • ① 不織布、使い捨て(ディスポーザブル)タイプ
  • ② 布タオル、自施設で消毒・洗濯
  • ③ 布タオル、業者に消毒・洗濯を委託

今回は、それぞれのタイプのメリット・デメリット、施設の傾向などを調べてみましたので、この場をお借りしてシェアさせて頂きたいと思います。

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新人職員の成長度合いが垣間見える3ステップ

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こんにちは、yuです。

新年度も早いもので丸3ヶ月が経とうとしていますね。

4月から働き始めた新人職員も徐々に仕事を覚え、慣れてきた頃でしょうか。

私は現在、特別養護老人ホームで主任介護士をしています。働き方としては5割が現場の介護業務、残りの5割が事務作業や対外的な事などの管理業務になります。

他の介護士さんほどには新人職員の具体的な動きというのは見えないのですが、それでも注意深く観察していると、「あぁ今この段階なんだな、次の目標はこれかな」という大まかな成長度合いは見えてくるもので…

その『段階』というのを新人職員さん、トレーナーさん、その他職員で共有しながら育成を進めていくと気持ちいいですよ。というお話です。

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