こんにちはyuです。
今回は、接遇やサービスマナーに関する人材育成についてです。
どのような仕事でも、ある程度経験を重ねた人であれば必ず後輩や部下を持つようになります。
組織の目標を達成するために、より良いサービスを提供するために、部下を教育をしていくことになるわけですが、人材育成は私も含め多くの人が悩まされる永遠の課題なのではないでしょうか。
これまで多くの方と接してきて、上司の指導力に関わらず、成長できる人とできない人の決定的な差(資質)がなんなのかが見えてきましたので、今回はそのお話をさせて頂きます。
[目次]
1 . いい大人を強制して変えることは出来ない
まずはじめに、教育する側である上司として肝に命じておきたいことがあります。
それは、強制的に人を変えることはほとんど出来ないし、できると思ってるならそれは傲慢かもしれないということです。
例えば、介護現場におけるサービスマナーについて。
ウチの施設では定期的にサービスマナーの考えや技術について、座学で研修会を開いています。
理屈は皆分かってはいるのですが、それによってサービスマナーが改善されたという実感はほとんどありません。
もちろん知識がないよりはあった方が良いのですが、それでは効果としては不十分。あともう一つ上の成果が欲しいというのが本音です。
ですが、ほとんどの人は「自分は平均以上の仕事ができている」と思っています(レイク・ウォビゴン効果)。
そのようなところにいくら指摘や指導をしたところで真摯に受け止めてくれるはずもないのです。
「もっとあーしろこーしろ」「あれがダメだこれがダメだ」、口すっぱく伝えてもそれは心に響いていませんし、響かないものは改善に向かうはずもありません。
2 . 成長できる人が必ず持っている資質
指導したところで、その効果はあまり期待できないかもしれない…
絶望的に思えるかもしれませんが、普段皆に同じ指導をしていても、不思議と成長して行く人とそうでない人がいます。
この差はいったい何なのか?
それは「自省できるかどうか」の差です。
自らを客観的に見つめ、悪い部分に素直に向き合う勇気があるかどうかという事です。
一つ、ある後輩のエピソードを紹介させてください。
悔し涙を見せた後輩
新規施設の立ち上げに関わらせていただいた時の話です。
あるフロアで新たにリーダー介護士に就任したAさん(20代男性)。
施設が開設して数ヶ月、彼が指揮をとるフロアでは苦情や事故、職員の退職などの問題が相次いで起こってしまいました。
ある日彼と何気なく話をしていた時、彼が悔し涙を受かべながら本音を吐露してくれました。
Aさん
「自分はもっと出来ると思っていました。こんな状態になってしまって情けないですし…本当に悔しいです。」
意外でした。
それまで彼は、俗に言う「今時の若者」という感じで、自分の仕事はするけど他人には興味ない、仕事は仕事、プライベートはプライベート、職場の飲み会には絶対参加しない、マイペース・・・そんな印象だったのです。
この一件で彼に対する印象は180度変わりました。それと共に、彼はこの先絶対に成長すると確信しました。
現場職員のしたことに対しても人のせいにせず、自分のリーダーとしての力不足を恥じ、どのようにすれば良いのか考える。これはリーダーには絶対必要な資質です。
彼も完璧ではありませんし、これからも失敗もすると思います。しかし、自らの欠点を臆せず受け入れ、改善をしようとする素直さを持った彼ならば、未来は明るいはずです。
人は皆、自分は正しいと思いたい
彼とは対照的に、指導や話し合いをしていても、人のせいにする人、言い訳に終始する人、嘘をつく人、自分に嘘をついてまで自己正当化に必死な人も多く見てきました。
このような自省できない人たちには、何を言っても無駄です。
改善は望めないまでも、組織的な信賞必罰によって「せめて悪いことはさせない」くらいが限界です。
人は皆、自分が人生の主人公ですし、自分は善人、正しい存在であると思いたいものです。
理解は出来ます。私だってそうです。しかしそれも行き過ぎると自らの成長を妨げる枷になることには留意したいものです。
3 . 自省を促すプログラムを介護業界にも
「自省出来るかどうか」は成長には絶対欠かせない要素です。
言い換えるなら、これまでの言って聞かせる指導よりも、自然と自省できるような育成プログラムがあれば良いのではないでしょうか。
ヒントはスポーツにある
私は学生時代剣道をしていました。
今思い出すと「あれをやっておけばもっと強くなれた」と思える反省が一つあります。
それは自らを映像に撮り、分析するということです。
自らの技のパターン、勝ちパターン、負けパターン、癖や課題を発見するためには、自らの試合を映像に収めよく見てみることが一番効果的です。
映像に撮る。
これはスポーツの世界ではごく当たり前に行われていることです。
スポーツの世界だけではありません。
例えばキャビンアテンダントは「マスクをしていても分かるくらいの笑顔」の練習を鏡を見ながら練習すると聞きます。
例えば講師や講演会をやるような人は、自らの講演を映像に残しておき、表情、声の出し方、声の大きさ、ジェスチャー、話のスピードや間、あらゆることの改善に努めます。
自分の立ち振る舞いは、意識していても中々自分では分からないものです。
映像に収める。自分で分析する。人に言われるより納得感がある。改善に努める。
このプロセスでは自然に自省が促されます。
これを介護でも行うのはどうでしょうか(もしこれを施設で行う場合には、上司は言いたい気持ちをじっと我慢して、あくまで本人に考えてもらい、本人に考えてもらう事が大切です)。
気づかなかった弱点に気づく
私の場合、これを通じて介護の場面で一つ課題を発見することが出来ました。
食事介助の場面です。
最初のうちは丁寧に声かけをしたりメニューを伝えながら介助をしているのですが、時間が経つにつれて無言&無表情になっているのです。
食事中にあまりベラベラ喋る必要もないとは思いますが、介助し始めと終盤の無言のギャップはさすがに酷かったです。
今では、介助をしていて時間が経つと、自分で「いけないいけない」と意識できるようになりました。
4 . 介護現場でありがちな、慣れなれしい言葉使い
介護の現場では、お年寄りに対するタメ口、命令口調、あだ名呼びなどの慣れなれしい言葉使いがいつも課題になります。
お年寄りは耳が遠い方も多いため、長い敬語で話すよりもシンプルな言葉で伝えた方が伝わりやすいことがあるからです。
例えば…
職員「これからお昼ご飯の用意をしますね」
利用者「え!?なに!?」
職員「ゴ・ハ・ン!」
利用者「あーご飯ね」
このような事がよくあります。
これはまだマシな例ですが、その職員にとっては悪気はない対応でも、第三者が見たときに「それはどうなの?」と思うような言動をしてしまっている時もあります。
介護におけるサービスマナーでは、必ず利用者の視点+第三者の視点を意識しておく事が大切です。
映像に撮ってみることで、第三者目線で自らを振り返ってみるのも面白いかもしれません。