こんにちはyuです。
先日、近所の小学校の授業にお邪魔し勉強会を開催してきました。
というのも、近々そこの小学生が「交流会」という形でうちの施設に来る予定があるため、事前に介護やお年寄りに関して色々と説明をしてほしいという依頼があったのです。
大勢の前で話すのは結構久しぶり。しかも相手は小学生(6年生)、どこまで話が通じるのかもよく分かりません。一学年全員が集まるため100名以上を相手にします。久しぶりにとても緊張しました。
事前に色々準備をして臨んだ今回の勉強会、結果としては想定以上にうまくいきました。留意したことや準備した事がバシッとハマった感覚です。
人に説明する力は、講師などの立場にない人でもあると意外と役に立つものです。今回は私が勉強会にあたって意識した7つの留意点について、メモしておきます。
[目次]
- 1 . 対象者を明確に設定する
- 2 . 話す内容を「目次」にする
- 3 . 目次に沿って、スライドを用意する
- 4 . 話さない内容を明確にする
- 5 . 「伝え方」の工夫
- 6 . 情報プラス「思い」を伝える
- 7 . 時間は絶対守る
- さいごに
1 . 対象者を明確に設定する
まず初めに意識した事がこれです。今回の対象者は小学6年生の子供たち。
普段私が講師的な事をする時は、相手は同業者かお年寄りのご家族が多いため、介護についてもだいたい同じくらいの理解度が最初からあります。
しかし今回は子供、お爺ちゃんやお婆ちゃんと言ってもまだ60代くらいと若い。
- お年寄りの事をどれくらい既に知っているのかな?
- 介護の事をどれくらい知っているのかな?
- 子供だけど6年生だったら結構いい歳だよな。あまり子供っぽくし過ぎてもいけないな、ナメてかかってはいけないよな…
こうした事を考えながら勉強会のプランを立てていきます。
2 . 話す内容を「目次」にする
何を伝えたいのか。目次のような形で事前に明確にしておきます。今回は以下の3つを伝えに行ってきました。
- 施設の紹介
➡︎老人ホーム、ショートステイ、デイサービスなど各事業内容の説明。 - お年寄りの理解、介護の理解
➡︎歳をとるとどうなるの?具体的にはどう困った事が起こるの?「身体機能の低下」「認知症」の説明。具体的な場面の説明。お年寄りのニーズ、家族のニーズの説明。 - 交流会当日のこと
➡︎お年寄りとの接し方のコツ、注意事項。
この3つの大きな題名を決めて、それぞれを詳しく説明していく構成にしました。
何を伝えたいのかをしっかりと目次にしておくことで、自分が話している間に迷ったり混乱したりするのを防げますし、最後まで自信を持って話を進められます。
3 . 目次に沿って、スライドを用意する
私が黙々としゃべり続けたのではツマラナイでしょうし、話している内容がスムーズに頭に入っていかないと思いました。
ですのでA3用紙で目次や具体例のイラストを作成したものを黒板に貼り、それを見ながら話を進めていくスタイルにしました。
手前味噌ですが、これにはただ黙々と話すだけでは得られない3つの効果があります。
① 話の全体像がわかる、今いるところがわかる
人は聞いた話を文章だけでなく構造的に変換しながら覚えます。
イメージ▼ ※出てくる名前は仮名です
話の全体像が見えない時、人は不安を感じますし頭が混乱します。あらかじめ全体構造を見せておくことで、不安なく話を聞く事に集中できます。
② 視覚から、より直感的に情報を得られる
これも言わずもがな。
特に今回は、お年寄りに会う機会の少ない子供が対象です。イラストを参照しながら説明する事で、実際の場面を想像しながら話を聞いてもらえます。
よく言われる事ですが、人は視覚・聴覚・嗅覚など様々な器官を通じて情報を得ていますが、視覚から得る情報が最も影響が大きいと言われています。
参考▼
③ 台本代わりになる
今回は台本を念のため用意しましたが、一切それは見ないで話を進めました。
黒板に話したい内容が箇条書きとして貼られているので、それを台本代わりにして見ながら順に説明をしていきました。
「全体がわかる・今いるところがわかる」というのは、話し手側にとってもメリットです。講義のタイムマネジメントにも役に立ちました。
4 . 話さない内容を明確にする
対象者を明確にし、目次とスライドも作成し、ある程度話せる準備は出来ました。
しかしここで、話す内容と同じくらい重要になってくるのが何を話さないかという事です。
情報量が多くなるほど一つ一つの情報は薄まっていきます。あれもこれも伝えようとすると、結果何が重要な話なのか分からない、伝わらない、といった事になりかねません。
また、決められた時間の中では、どうしても伝えられる情報量に限りがあります。
専門的な知識から具体例まで、話そうと思えばいくらでも話は尽きません。あらかじめ「何は伝えなくても良いか」伝えなくて良い情報の優先順位を決めておきます。
5 . 「伝え方」の工夫
講義の最中、黙々と説明だけ続けても退屈です。より伝わりやすいように、講義に飽きないよう抑揚をつけるように、ちょっとした工夫をこらします。
① 芝居をする
認知症の症状について「短期記憶が〜」とか「見当識障害とは〜」と説明しても分かりにくいです。
なので私が認知症のお年寄りになったつもりで、実際によくある場面を再現します。
特に小学生にはこれが伝わりやすいようで、緊張がほぐれながら熱心に聞いてくれました。
② 質問をする
皆が知っているようなトピックスや時事ネタを「〜ってニュースで見た事ある?」といった具合に、時々生徒に投げかけます。
生徒たちは「知ってる!」と答えてくれたり、うなずいてくれたりします。
こうして私と生徒がキャッチボールをしながら講義を進めていけるよう留意します。
③ 専門用語は使わない
普段ついつい使ってしまいがちな専門用語があります。ADL、QOL、バイタル、誤嚥、褥瘡、などなど・・・
専門用語は使わずに、より身近な言葉で伝えるよう留意します。
同業者だと専門用語を使うのは効率が良いのですが、これをしないとなると言葉選びに工夫が必要になってきます。
④ 声の出し方、スピード
これは個人的な事なのですが、これまで何度も勉強会をしてきて、声の出し方にも注意が必要なのだと感じています。
大きい声で話そうと声を張り上げると、だんだんと喉が渇いて話にくくなってきます。
お腹のあたりに意識をおき、喉をゆったり開くようなイメージで、声量は確保しつつも話していて疲れない声の出し方を意識しています。
スピードについてもゆったり目に。また話の内容が切り替わる所では少し間をおき、抑揚がつくように意識します。
6 . 情報プラス「思い」を伝える
施設の紹介、お年寄りや介護について、いずれもただ説明しただけでは無機質な情報でしかありません。
お年寄りがどう困っているのか、家族がどう困っているのか、人生の終盤に直面する辛い気持ちや悔しい気持ち。それを支えたい介護施設の気持ち。
社会のニーズや施設の役割について、そうした人々の感情についても伝えるようにしました。
私
「『終わりよければ全て良し』って言うけれど、今まで一生懸命に仕事したり家族を支えたり頑張ってきたのに、人生の最後の時間がこんな(イラストを見ながら)じゃ辛いばかりであんまりだよね。少しでも人生の終盤を苦しくなく、笑顔多く、本人にも家族にも過ごしてもらいたい。そのお役に立ちたいと、私たち介護施設は頑張っています。」
みたいな。文字にすると照れますね。
7 . 時間は絶対守る
今回は学校の授業にお邪魔した形でしたので、時間を延長して行うことは出来ません。
学校に限らずですが、話を聞いてもらっているという事は相手の貴重な時間を頂戴している事でもあります。
締めの時間は絶対厳守です。
持ち時間に合わせた内容の組み立てはもちろん、話しながらスピードや内容を微調整するスキルも必要です。
私自身まだまだ苦手な所ですが、今回はうまくいきました。
さいごに
勉強会を通じて意識した7つのポイントを紹介しましたが、これは勉強会に限らず上司や部下、他者への説明全般に活用できる技術です。
実はこの7つのポイントには共通点があります。それは相手の立場に立って考えると言う事です。誰に伝えたいのか。何を伝えたいのか。どうしたら伝わりやすいのか。
そして今回も感じた準備が9割だと言う事。
今回の勉強会はとても良い刺激になりました。先生方、お誘い頂きありがとうございました!