Sow The Seeds

介護の現場から リーダーのためのブログ

部下からの「耳の痛い話」が嬉しい

f:id:sts-of:20170820221656j:plain

問題の大小に関わらず、部下から嫌な報告や指摘を受けることがあります。

例えば私自身の問題。仕事に対する姿勢であったり、施策に対する反対や、部分的な指摘であったり。

例えば部署の問題。事故やクレーム、職員間の問題、知りたくなかった職員の汚い部分であったり。

それらを聞くと当然私はショックを受けます。辛い気持ちになったり、怒りが沸いてきたり、「耳が痛いな〜」と頭を抱えます。しかし、こうした話をしてくれた職員に、私は感謝の念しかありませんし、内心とても嬉しく思っています…

 [目次]

 

 

1 . 理由① リーダーに求められるスキル

リーダー的立場の人に求められるスキルの一つ、それは「ピンチに気づける事」です。

自分たちの組織が間違った方向に進まないために、取り返しのつかない間違いを犯さないために、目標に向かって課題を把握するために、問題の芽とも言える事に対しては敏感でなくてはなりません。

ちょっとした事でも、部下が意を決して「耳の痛い事」を言ってくれたわけです。すなわち問題の芽に気づくための機会を与えてくれたわけです。感謝しかありません。

どうしても、立場が上がるほどに孤独になっていきます。意図的に、自分にとって都合の悪い話が自分の耳に入るように留意しておくことが大切です。


古典「老子」には以下のように書かれています。

老子 (岩波文庫)

老子 (岩波文庫)

 

 難しいことは、それが易しいうちに手がけ、大きいことは、それが小さいうちに処理する。世の中の難しい物事はかならず易しいことからおこり、世の中の大きな物事はかならず些細なことからおこるのだ。そういうわけで聖人は、いつも大きな物事は行わない。

 


2 . 理由② 部下との関係性

期待の出来ない上司に、部下はわざわざ相談や報告をしません。相談するだけ時間のムダですから。

また、報告すると嫌な顔をしたり理不尽に怒るような上司にも、悪い話はしたくないものです。

「耳の痛い話」をしてくれたと言うことは、上司に対する期待や信頼の表れでもあり、現場のピンチに気づくための関係が部下と築けている事の証明でもあります。

そのような関係でいられる事が、嬉しくないはずありません。感謝です。


老人ホームでは、ご利用者が転んだり原因不明の内出血が出来たりと、色々な事故が起こります。また24時間体制ですから、職員も想像の斜め上をいく問題を起こす事があります。

こうした問題はゼロにはなりませんし、もしなったとしたらそれは嘘です。隠蔽されていたり、自分が気付いていないだけの可能性が高いです。

耳の痛い事を聞く。見たくないものを見る。リーダーに必要な心がけです。



3 . 上司の姿勢として

部下が耳の痛い事を言ってくれるように、心がけている事があります。


① 機嫌良く

しょっちゅうイライラしていたり、気分にムラがある上司では、部下は報告を上げてくれません。

なるべく機嫌良く、なるべく安定した状態で常にいる事を心がけています。


② 言ってくれてありがとう

悪い報告を受けた時、「なんでそんな事が起こったんだ!」と頭ごなしに怒る人がいますが、私はそれをしないようにしています。

「言ってくれてありがとう」と伝えます(本当にありがたいから)。

誰が言ったか「Bad News Fast(悪いことは早く)」、部下がそれを理解してくるよう、実践しやすいようにしたいものです。


③ ひとまず聞く。否定しない。無理に答えない

耳の痛い事を言われた時に、陥りがちな2パターンがあります。

  1. その場を取り繕おうとして言い訳をする
  2. 言われた事を認めず否定する


どちらも、言ってくれた人を失望させてしまう返答です。

下手な言い訳や弁解は不要です。最後まで相手の話を聞き、一旦は飲み込むようにします(もちろん明らかな間違いや誤解を言われたら、そこは否定するべきですが)。

上司として、その問題にどう向き合い対処すべきなのか、じっくり考える時間を持つことも必要です。その場でうかつな返事はせず、素直に「今この場では答えが出ない。考えさせてくれ」でも良いのです。



4 . さいごに

良い組織ってどんな組織だろう?と考えた時に、私は「上司部下が遠慮なくやりあえる」というのが一つ条件だと思っています。

仕事のことであれば、例えば会議の場などで遠慮なくぶつかる事があっても良いです。むしろあった方が良いです。

仕事上の意見の相違は存分にぶつかって、議論の場が終わればまた普通に笑顔で、礼儀を持って接する事が出来るような関係。

私と相対する部下が、自然とそういう姿勢を身につけられるようになってくれたら良いなぁと思っています。


何はともあれ、「聞きたくない事を聞き、見たくないものを見る」それも役職者の大事な仕事ですよ!というお話でした。