Sow The Seeds

介護の現場から リーダーのためのブログ

部下からの「耳の痛い話」が嬉しい

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問題の大小に関わらず、部下から嫌な報告や指摘を受けることがあります。

例えば私自身の問題。仕事に対する姿勢であったり、施策に対する反対や、部分的な指摘であったり。

例えば部署の問題。事故やクレーム、職員間の問題、知りたくなかった職員の汚い部分であったり。

それらを聞くと当然私はショックを受けます。辛い気持ちになったり、怒りが沸いてきたり、「耳が痛いな〜」と頭を抱えます。しかし、こうした話をしてくれた職員に、私は感謝の念しかありませんし、内心とても嬉しく思っています…

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「何人いれば足りるの?」介護現場を数字でマネジメントしてみよう。という話

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こんにちは、yuです。

この業界に身を置いていますと、皆「いかに良い介護をするか」という介護士個人の技術論に興味が偏りがちな印象を受けます。

しかし介護のような労働集約型の仕事の場合、良いサービスを提供するためには「現場の労働力をどのように分配するか」「いかに安定した状態を作り維持するか」というマネジメントが実はとても大切です。

残念ながら、そのような視点をきちんと教わっているリーダーや主任はあまりいません。いちプレイヤーのまま役職がつき、マネジャーへの変革が出来ず、もがいている人が多いのです。

今回は勤務表の作成を例に、数字を用いた介護現場のマネジメントについて綴っていきます。

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老人ホームで、季節行事やレクリエーションをやる必要があるのだろうか?【社会保障】【後編】

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前編の記事では


  • 介護保険制度は徴収した保険料だけではサービス供給ができないため、給付の50%は公費で賄っている。

  • 国家予算の1/3は社会保障関連であり、これは他の項目を大きく上回る比率。

  • 社会保障給付費の規模は年々膨れ上がっており、解決のための出口は見えない。この状態は少子高齢化が進むに伴ってより悪化する。

  • 介護保険本来の存在意義(ニーズ)は、お年寄りの余暇を充実させる事ではなく、日常生活上の介護であったはず。

  • 結論。このような財政、人口問題を抱える中で、制度を破綻させてまで、お年寄りの余暇を充実させることに公費を使うのはやりすぎ。


と言う事を書かせていただきました。

リンク▼
老人ホームで、季節行事やレクリエーションをやる必要があるのだろうか?【社会保障】【前編】 - Sow The Seeds


今回は後編です。季節行事やレクリエーションなどの余暇支援活動。これらのメリットや、行う上での留意点について考えます。

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「仕事の報酬は仕事」は強者の論理

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「仕事の報酬は仕事」とは、ソニー創業者の一人である井深大氏が言った言葉です。*1

ソニーといえば、故スティーブ・ジョブズ(アップル元CEO)もあるインタビューの中で「本当に偉大な、日本のコンシューマーエレクトロニクスの会社があって、それがポータブルミュージック市場を支配していました。」と振り返る程、世界で一時代を築いた企業です。


「仕事の報酬は仕事」

今ではこの言葉だけが一人歩きし、様々なところで耳にするようになりました。でも私は、この言葉があまり好きではありません。

部下を都合良く頑張らせるための方便として使われているような気がしませんか?いくら頑張っても、実際には報われない人の方が多いと思いますし。
※井深氏はそんなつもりで言ったのではないと思います。ただ現代において、この言葉を悪用している人もいるのでは?と言う事です。

今回は仕事への向き合い方だったり、生き方であったり、そんな事を考えてみます。

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「おむつゼロ運動」に見る、大衆心理の危険性

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介護の世界に身を置く者ならば、「おむつゼロ」と言うスローガンを見聞きした事がある人も多いでしょう。

国際医療福祉大学大学院教授・竹内孝仁氏が提唱したもので、施設介護において、根拠のある介護を行う事で日中はおむつの着用者をゼロにしましょう!と言うのがこの「おむつゼロ」運動です。介護方針にこれを掲げている施設も少なくありません。

介護の仕事は「医師=病気を治す」「弁護士=裁判に勝つ」「消防士=火災を納める」のように成果が分かりやすい仕事ではありません。その中にあって「おむつ着用者がゼロになる!」と言う分かりやすいスローガンは、多くの介護施設関係者を虜にする、大変センセーショナルなものでした。

しかし、分かりやすいからこそ落とし穴も多いものでして、今回は「おむつゼロ」の負の側面について考えていきます。

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老人ホームで、季節行事やレクリエーションをやる必要があるのだろうか?【社会保障】【前編】

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夏祭りの時期ですね。

私が働く老人ホームでも先日納涼祭が行われ、近所の親子連れが多くいらっしゃり盛り上がりました。お年寄りの喜ぶ顔、地域の方々との交流、中々やりがいもあり大変微笑ましいひと時でした。

しかし私は正直申し上げますと、老人ホームで行う季節行事に関しては、やや否定的な見方をしています。なぜ否定的なのか、今回はその辺りの所感を綴ります。

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良い上司と巡り会える可能性は1%、自分が良い上司になれる可能性も1%【成人発達理論】

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仕事中によく出くわすある場面。職員たちが口にする上司の愚痴。

「申し送りがない。聞いていない。」
「相談がない。勝手に決められた。」
「ワンマンだ。」等々

しかしそんな職員たちも、例えば委員会の長として、あるいは行事やプロジェクトの担当として自らがリーダーシップを発揮する場面になると、文句を言っていた上司と全く同じ間違いを起こしていたりします。そして、そのことに当人は気づいてさえいない。

つまり、時間が経ちその職員達が出世した頃には、今まで文句を言っていた上司と同じ程度の人間になる可能性が高いと言うことです。

「そうやって時代は繰り返されていくのだろうな…」と、なんとも言えない気持ちになります。

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