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介護の現場から リーダーのためのブログ

例え話がうまい人は、なぜ例え話がうまいのか?【4つのポイント】

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私はこれまで、多くの職員と面談をしてきました。人材育成、褒める、叱る、説得、提案、相談、部下、上司…内容も相手も様々です。

その際、相手に伝えたい事を伝えるための手段として、よく例え話を用いています。私は例え話がうまい…という話ではありません。相手にどのようにすれば伝わるのかを自分なりに考えた結果、例え話をするのが伝わりやすい、という事が多かったのです。

「例え話がうまい人は、なぜ例え話がうまいのか」
これを紐解くと、上手な例え話に必要な4つの力が見えてきます。


[目次]

 


 

はじめに

① 例文 その1

以前の記事で、介護の仕事の質について、私はこのような例え話を出しました。

接客接遇は、相手が満足して初めて「ちゃんと仕事をした」と言えます。相手の満足を無視した対応は「ただ作業をこなした」だけです。

料理屋さんで例えるなら「どんなに早く沢山料理を作っても、店のレシピを守らない(下処理を怠った、切り方が雑、火が通っていない、盛り付けグチャグチャ等)料理はお客に提供できない。」という事です。

日頃の指導においても、「質」に対して充分にフォーカスした指導が求められますし、こうした価値観を常日頃より伝えていく事が大切です。

人間は2種類に分けられる。自分より弱い立場の人に横柄になれる人か、そうでない人か - Sow The Seeds


これは介護の仕事の質を考えた場合に、仕事の速さのみに気を捉われたサービスは NGであると言う事を、料理に例えて説明したものです。

細かい説明はここではしませんが、介護の仕事は、やってる自分たちでも「良い仕事の定義」が分かりにくい仕事なのです。

この例え話、もう少し詳しく図にすると、以下のような構造になっています。

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良いサービスとは何かを考えた時に、私たちが普段している動作は


  1. 作業内容(何をするのか)
  2. 作業品質(どのようにするのか)


この2つに分解して説明する事が出来ます。

料理屋さんという誰にとっても身近な例を出す事で、少しでも分かりやすく伝わればと考えたものです。


② 例文 その2

二宮尊徳(金治郎)の言葉を参照します。

二宮尊徳は、農業の専門家として村の復興を請け負ったスペシャリストです。農業を通じて、自然の摂理から様々な人生訓を学び、伝えた人でもあります。

そんな彼の例え話に、このようなものがあります。

「キュウリを植えればキュウリと別のものが収穫できると思うな。人は自分の植えたものを収穫するのである。」

代表的日本人 (岩波文庫)

代表的日本人 (岩波文庫)

 

彼は村を再興するにあたって、外部からの施しに対して否定的でした。自分たち自らの行い、努力の積み重ねによってでなくては、真の再興は果たせないと言う事を理解していました。

この例え話は


  1. キュウリを植える → キュウリが収穫できる
  2. 自らの行い → 良い事も悪い事も、行いに則した結果・責任が伴う


と言う事を伝えたかったのではないでしょうか。



それでは、これらの例文を踏まえた上で、本題に入っていきたいと思います。



1 . 全体構造を理解する力

物事の構造を理解する力、それは物事の本質を理解する力と言い換えても良いかもしれません。

物事には、分野は違えど共通の構造があります。まず初めに、目の前で起きている事象に対して、何が起きているのかを俯瞰してみる事で、全体の構造を捉えます。

この全体の構造を捉える力こそ、例え話がうまい人に最も必要な能力であると言えます。



2 . 混沌をパッケージングする構成力

全体の構造と言いましたが、必ずしもその構造(フレームワーク)は教科書に載っていたり、誰かが教えてくれたりするものではありません。

世の中の混沌と溢れる情報の中から、自分なりに必要な所を切り取ったり、組み立てたりする力が必要です。

ちなみに「構造を理解する力」「混沌をパッケージングする構成力」、これについては以下の本がとても参考になります ▼

ザ・会社改造 340人からグローバル1万人企業へ

ザ・会社改造 340人からグローバル1万人企業へ

 



 

3 . 知識教養の量、幅

他所から例えになるネタ(共通の構造)を持ってくるわけですから、知識教養の量が多い・幅が広いことは武器になります。

自分の専門分野や組織にとらわれず、様々な業界、歴史などについて普段から興味を持っている事、勉強し吸収する事が大切です。

例え話というよりは引用的な手法ですが、何らか提案や説得を上司にする場面「例えば〇〇社(有名企業や著名人)では〜」といった具合に、同様の事例を出す事で説得力を増すというやり方もあります。これも知識教養の量によって出来る事です。



4 . 相手の立場を理解しようとする力

人によって、持っている知識の量も分野も様々です。

自分にとっては当たり前の内容でも、相手によっては伝わりづらいという事がよくあります。相手の知識の量や分野、今自分が話している事に対する理解度、これらを観察し推測し、より伝わりやすい例え話に変換します。

どのように説明すれば伝わるのか、相手を理解しようとする力が必要です。



さいごに

この記事を書こうと思ったのは、先に紹介したこの本がきっかけです。

ザ・会社改造 340人からグローバル1万人企業へ

ザ・会社改造 340人からグローバル1万人企業へ

 

 この本では、著者が自分たちの会社は何なのか、それを理解するための手段として、また他者に伝えるための手段として頻繁にフレームワーク(構造を図に起こし可視化する)を用いています。

構造を捉える力 → 本質を捉える力。本質を捉える力 → 例え話をする時に必要な力。そのように気づかされまして、大変良い学びになった次第です。