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介護の現場から リーダーのためのブログ

4月からリーダーになる人が、やるべき事は一つだけ【人事異動】

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まもなく4月を迎えます。
人事異動などで、新たな場所でリーダー職として働く人も多いでしょう。

あんな事したい、こんな事したい…期待、不安、緊張、意気込み、様々な感情で肩に力が入っている事と思います。失礼を承知で言いますが、最初は99%挫折します(意欲ある人ほど)。

今回は、なるべく余計な失敗は避け、挫折を乗り越えるために何をするのか。というお話し。

  

[目次]

 

1 . たった一つのやるべきこと

まずあなたが最初にやるべき事は『全てをよく知る事』です。

その組織の仕組み、人間、人間関係、強み、弱み、歴史、力学やしがらみ等々、とにかくフラットな気持ちで現状の把握から始めます。

リーダー職として着任したからには、必ず「今までよりも良くするように」という使命が与えられている事でしょう。しかし、「今までよりも良くするように」と考え現場を見ると、とかく「現状の悪いところ」にばかり意識がいきがちになります。悪いところ探しばかりの、否定的な視線を送る上司に従う部下はいないでしょう。

まずは現状把握、そして職員との人間関係の構築に専念して下さい。「否定」ではなく、良いところも悪いところもありのままを知り、受け入れる努力をして下さい。

兵士たちがまだ〔将軍に〕親しみなついていないのに懲罰を行うと彼らは心服せず、心服しないと働かせにくい。〔ところがまた〕兵士たちがもう親しみなついているのに懲罰を行わないでいると〔威令がふるわず〕彼らを働かせることはできない。※下線は筆者にて加筆

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2 . なぜ把握が大事なのか

大抵は失敗するから

結果を急ぎ、付け焼き刃の改革を行ったところで大抵は失敗します。失敗の要因は以下の2つです。

  1. 改革案が的外れになる
    把握が不十分ですから、課題の抽出も十分に出来ていません。よって、勘所をつかんでいない的外れな改革になります。そしてここでの失敗は、その後の職員との信頼関係の構築に悪い意味で尾を引きますから、注意した方が良いでしょう。

  2. 職員が動いてくれない
    リーダー職は自分がお客様に良い対応をすれば良い、というものではありません。最前線で働く大勢の部下たちが活躍してなんぼです。自分一人では何も出来ないのです。仮に素晴らしい的を射た改革を実行しようとしても、信頼関係なくして部下は従ってくれません。人は理屈よりも感情で動きます。

 
改善、改革をする際に何が一番大事かと言ったら、それは真の課題真の原因を見極めること』です。これがうまくいかないと、その後の全ての行動は空振りになります。ですから多少時間を要してでも、把握には十分なエネルギーを注ぐべきなのです。把握、把握、把握…頭の中で情報が溢れカオスになるくらいで最初は良いのです。その中から、砂粒の中のダイヤのように、改革の要となるポイントを見出すのです。
 

結果を急ぐ上層部のプレッシャーに、どう対応するか

最終的に結果が出れば良いのです。

そのために必要なプロセスを今踏んでいるのであれば、その旨を理解してもらえるよう上に説明するのも仕事のうちです。「上がプレッシャーをかけるからそれに無条件で従う」というのは、あなたの仕事を放棄しているようなものです。

とはいえ、上司も未来が見えないのは不安です。〜ヶ月後、〜年後、という具合に長期的な期限付きプランを提示する必要があります。



3 . それでもいずれ壁にぶつかるから、覚悟しておいて

初動を慎重に行い、うまく新しい組織に馴染めたとしても、あなたが志を持って変化を起こそうとする限り、必ず壁にぶつかる時が来ます。

タックマンモデル*1で言う「混乱期」の訪れです。組織を前進させたいなら、これから逃げてはいけません。率直に意見を交わし合い、論争を繰り返し、ぶつかりながら少しずつ統一期へと向かいます。

「雨降って地固まる」と言いますが、「雨降らずして地固まらず」でもあるのです。



4 . おまけ

今回は異動した人向けのお話でしたが、これまでいた部署で昇進した人には、少し違った視点(気持ちの切り替え)が必要です。

同じ孫子からの引用でも、下部が参考になるかもしれません。

兵士たちがまだ〔将軍に〕親しみなついていないのに懲罰を行うと彼らは心服せず、心服しないと働かせにくい。〔ところがまた〕兵士たちがもう親しみなついているのに懲罰を行わないでいると〔威令がふるわず〕彼らを働かせることはできない。※下線は筆者にて加筆

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冒頭、意欲ある人ほど最初は挫折すると書きましたが、それは成功のために必要なプロセスです。むしろ、挫折を感じないのであれば、それは何もしていないからかもしれません。これから変革に挑むリーダー職の皆様、ご武運を!(私も頑張ります!)