Sow The Seeds

介護の現場から リーダーのためのブログ

人が違えば正反対の事も言いますよ、って話【人材育成】

f:id:sts-of:20170325002538j:plain

以前のブログで、私はこんな話をしました ▼

③ 人によって使い分けも必要 
入社1年目の新人と、5年目の中堅では、求められる働きが違います。 求められる働きの度合いに応じて、褒める内容、叱る内容も変わってきます。

褒める事と叱る事、どちらが大事かと聞かれたら、こう答える。 - Sow The Seeds

今回は、私にこの視点を衝撃的に気づかせてくれた書籍を紹介します。

 

[目次]

 

  

 父、坂井三郎

父、坂井三郎-「大空のサムライ」が娘に遺した生き方-

父、坂井三郎-「大空のサムライ」が娘に遺した生き方-

  • 作者: 坂井スマート道子
  • 出版社/メーカー: 産経新聞出版
  • 発売日: 2012/08/07
  • メディア: 単行本
  • 購入: 2人 クリック: 2回
  • この商品を含むブログを見る
 

 
元零戦パイロットで、世界的ベストセラー『大空のサムライ』の著者、坂井三郎氏の娘さんが書いた本です。父、坂井三郎氏との様々なエピソード、氏の人生哲学などが語られています。今回紹介するエピソード以外でも、学べる事の多い良書です。



戦闘機訓練生への指導

戦闘機の訓練生を指導している時のエピソードです。

目の前の敵機を照準に入れ、直進飛行し、打つ---そのほんの二、三秒の時こそ、自分が一番撃たれやすい瞬間でもあるのです。だから父は、初心者には、敵機を照準に入れて打つ瞬間、必ず真後ろを確認するように教えます。 〜中略〜
そこで父は言うのです。
「撃つ直前に後ろを見ろ!」

〜中略〜

しかし、中堅クラスの練習生には、父はもうそんなことは言いません。
「コラお前、これから撃とうって時に、悠長に後ろなんか見ていて、墜とせるか!」
全く正反対のことを言うのです。
撃つ瞬間に敵に背後をつかれるへまなど、そもそもするな。自分が敵機を撃つ瞬間には、次に自分の後ろからかかってくる敵はどれかをすでに見極めておくのです。
※下線や強調は筆者にて加筆

 

習熟度によって、指導を使い分ける

この視点は絶対に必要です。

当たり前のことのようですが、意識して実践している人は少ないのではないでしょうか。私自身これを日々意識していますが、中々思うように実践できているかと言うと自信がなかったり…


よくある指導者の『間違った』憂い①

これを意識していないことで、よく起こっている指導者の間違いがあります。

まだ経験の浅い職員に、自分と同じ高さの視点を求めてしまうのです。そのため指導者は「何でこんな事も解らないんだ。出来ないんだ。」と職員を責めます。

しかし、自分の新人だった頃をよく思い出してみて下さい。あなたの今見ている視点は長年の経験と訓練によって培われてきたもののはずです。新芽に花を咲かせと言っても無理なように、段階に応じた目標と指導が必要です。


よくある指導者の『間違った』憂い②

中堅〜ベテラン職員に対しても、よく間違いを犯している事があります。

それは、経験に応じたストレッチを与えないと言う事です。先ほどの例とは逆に、課題を与えなさ過ぎるという事です。

経験と実績を積んだ職員には、それ相応のレベルの高い指導を行い、その人の潜在能力を最大限引き出すべきです。「成長しない」のではなく、成長の機会を適切に与えていないのです。

これについて、もう一つ書籍から事例を紹介します。

生産性―――マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの

生産性―――マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの

 

会社では、職員の成長を促すための手段として、人事異動を行うことがあります。
この本では、異動と成長スピードについて以下のような図で説明しています。
※書籍の中の図を、筆者にて再作成

f:id:sts-of:20170324014335j:plain


図にある青い矢印がフラットになっている所が、潜在能力を引き出せていない所です。この本では『一般の制度に合わせることで、トップパフォーマーの成長を抑制し、潜在能力を活かしきれていない場合がある』という旨が書かれていますが、この事はトップパフォーマーに限らず、どの職員に対しても起こり得ることです。



【提案】人事評価制度を活かす

「習熟度によって指導を使い分ける」日常的にこれを実践するのは、反射神経が求められるため中々難しいですが、例えば多くの会社で行われている『人事評価制度』、この機会だけでも活用してみてはどうでしょうか。

定期的に掲げる自己目標、これを設定する時点で上司が関与し、レベルに応じた目標設定を行うようにするのです。

私も人事評価に間接的に携わる立場ですが、そもそもの目標設定がこれどうなの⁉︎と感じる場面があります。ベテランでありながら新人レベルの目標設定をして、上司もそれを放任しているという事が非常に多いのです。これでは先に述べたように、レベルに応じた指導にはなっていきません。

人事評価は半年に一回など定期的に行うものです。今回お話しした視点を毎日の場面で実践するよりは、簡単に取り入れる事ができるのではないでしょうか。




今回はここまで。
また違ったエピソードも折を見て紹介出来たらと思います。最後まで読んで頂きありがとうございました。

今回紹介した本はこちらの2冊▼

父、坂井三郎-「大空のサムライ」が娘に遺した生き方-

父、坂井三郎-「大空のサムライ」が娘に遺した生き方-

  • 作者: 坂井スマート道子
  • 出版社/メーカー: 産経新聞出版
  • 発売日: 2012/08/07
  • メディア: 単行本
  • 購入: 2人 クリック: 2回
  • この商品を含むブログを見る
 

 

生産性―――マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの

生産性―――マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの