Sow The Seeds

介護の現場から リーダーのためのブログ

理不尽なクレームに立ち向かう勇気はあるか

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前回投稿したブログで、二宮金次郎について語りました。

像が撤去されていく様を冗談ぽく書きましたが、実はこれ冗談じゃないと思える出来事でもあるのです。
今回は、理不尽なクレームに対する対応について。

 

1 . 二宮金次郎像の問題について

① なぜ、的外れなクレームに応じるのか

そもそも二宮金次郎像がなぜ置かれているのか、その意味を学校側も今となっては理解していないのでしょう。

理解していないから正しく説明が出来ない、だから「歩きスマホを助長する」という的外れなクレームに渋々応じるハメになったのです。

 

② どうするべきであったか

二宮金次郎像設置の意図を、きちんと保護者に説明、発信するべきであった。

「それでも子供は誤解する!」と言う親もいるでしょう。そこから先は親の責任です。子供が誤解しないよう親が自分の子供に伝えて下さい。

以上です。
ハッキリ言ってそれ以上相手にする必要がありません。このような事に全国の学校が右往左往している、しまいにはお金をかけて「座り金次郎」などと言う本来の主旨から外れた中途半端なものを設置する始末。「あいだを取って良しとしましょう」という、いかにも日本人らしい対応。良い大人の見本であるべき教育機関がこれでは思いやられます。

『学校教育法、第二十一条の三*1』には、このように書かれています。※下線は筆者にて挿入

我が国と郷土の現状と歴史について、正しい理解に導き、伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する態度を養うとともに、進んで外国の文化の理解を通じて、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。

 どうか、正しい理解に導いて頂きたいものですね。

 

 

2 . 『正義』こそが判断基準

かつて、大阪のコンビニで店員に土下座させ恐喝すると言う事件*2もありました。

このケースを見ても、オーナーやエリアマネジャー達には一つ決定的な視点が欠けていました。

① 丸く収めようと思ってはいけない

多くのリーダー職の人たちに共通して言える事ですが、揉めてはいけない、争ってはいけないと言う固定概念があります。

お客様は神様ではありません。ドライな言い方をしてしまえば、『サービスを提供し、対価をもらう側』と『サービスを受け、対価を支払う側』なだけであり、何も全て言う事を聞く必要はないのです。最悪の場合、もめる事もあり得る。刺し違える事もあり得る。という心構えは、最初からしておいた方が良いでしょう。

お客様の訴えに真摯に耳を傾け、出来る最大限の事はするべきです。しかし明らかに無理が生じる場合や、行き過ぎた要求であれば、毅然と対立する事もまた必要なのです。

② なぜ、丸く収めようとしてしまうのか

一番の原因は、会社上層部に対するプレッシャーでしょう。

即ち保身です。
「もめてしまったら、上層部から何言われるか、どんな処分を受けるか分かったもんじゃない」という。上層部がそう言ってなかったとしても、無意識にそのような精神的プレッシャーが自らにかかっています。

③ 賢人の教え

正義と勇気をふるい立たせるべく、私の好きな教えをご紹介します。

西郷隆盛*3

「正道を歩み、正義の為なら国家と共に倒れる精神がなければ、外国と満足できる交際は期待できない。その強大を恐れ、和平を乞い、みじめにもその意に従うならば、ただちに外国の侮蔑を招く。 〜以下省略〜 」

代表的日本人 (岩波文庫)

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孫子*4

「そこで、合戦の道理としてこちらに十分の勝ちめがあるときは、主君が戦ってはならないといっても、むりにおしきって戦うのが宜しく、逆に合戦の道理として勝てないときは、主君がぜひとも戦えといっても、戦わないのが宜しい。だから、功名を求めないで〔進むべきとき〕に進み、罪にふれることも恐れないで〔退くべきとき〕に退いて、ひたすら人民を大切にしたうえで、主君の利益にも合う将軍というのは、国家の宝である。」

新訂 孫子 (岩波文庫)

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私の父
「尊厳を傷つけられてまで、黙っている必要はない。」

 

3 . 誰に、誠意を尽くすのか

このような場合、貴方が誠意を尽くすべき相手は理不尽なクレーマーでもなく、上司でもありません。

① 誠実なお客様に対して

『ノイジー・マイノリティ』と『サイレント・マジョリティ』*5という言葉がありますが、誠実なお客様の多くが後者でしょう。前者の無理難題に屈することで、かえって多数の誠実なお客様の信用を失うことにならないか、留意する必要があります。

② 最前線で働く部下に対して

部下は、貴方がこの困難にどのように対処するのかを注意深く観察し、評価しています。

理不尽に屈する、部下の責任にする、無理を現場に押し付ける、このような対応ではこの組織の明るい未来を誰も想像できなくなってしまいます。職員のモチベーションの低下、生産性の低下、優秀な職員の離職などの事態も十分起こり得るでしょう。

上記の①②いずれにも言えることですが、誠実な人に対して誠意を尽くすことを忘れてはいけないのです。

 

その2に続く…▼
理不尽なクレームに立ち向かう勇気はあるか その2 - Sow The Seeds