前回のクレーム対応について、続きです。
前回記事 ▼
理不尽なクレームに立ち向かう勇気はあるか - Sow The Seeds
前回はどちらかというと『とにかく強気でいけ』という誤ったメッセージにも捉えられかねない内容だったので、少し補足的なことを今回は書きます。
1 . クレーマーの9割は、まともな人
私の経験ですが、これまで多くのクレーム対応にあたった事がありますが、最終手段である対立するという所までいったケースはありませんでした。はじめはクレームが入ったと聞いてドキッっと身構えてしまうのですが、ちゃんと話を聞くとごもっともな意見であることがほとんどでした。
相手に対して先入観を持たず、まずはフラットな気持ちで耳を傾けることが大切です。
2 . クレームのレベル3段階
クレームには大きく分けて3つのレベルがあります。
どのレベルにあるのか見極めて対応することが大切です。
① 話を聞いてほしい
最も軽いのがこの段階です。お客様は今すぐ具体的な改善は求めておらずサービスの参考になれば、将来の改善に資すればという思いで意見を述べてくれています。
後述するレベル②③の場合と違い、お客様はあまり事を大きくして欲しくないと考えている場合があります。その場合、お客様にとっての周りの目に留意し対応します。また、謝罪よりも意見に対する感謝の意を強くお伝えします。
② 改善してほしい
具体的な改善を求めている段階です。以下の点に注意して対応します。
・具体的な改善策を立案し、説明する。
よくありがちなのが、現場の実情を理解していない管理職が、独断で出来もしない改善策を立案し、後々顧客との約束が守れないというケースです。必ず現場と率直に協議し、実現可能な施策を立案する事が大切です。
・期限やタイムスケジュールを明確にする。
期限を明確にする事で、より施策の具体性が増し、顧客の納得を得られやすくなります。
・改善後のフィードバックをする
約束した改善策が実際に実施されているか、顧客から見てどうか、フィードバックの機会を設けます。私はこれを『着地』と呼んでますが、ここまで出来ると、クレーマーは転じて熱心な顧客になる可能性すらあります。
③ 補償してほしい
もはや今後の改善策では満足できず、何らかの弁償や金銭的償いを求めてきているケースです。こうなってくると、いちマネジャークラスではその場で判断できない場合もありますので、一度持ち帰り会社内で協議する必要があるでしょう。
・できない約束はしない。
・焦ってその場でうかつな返事はしない。
・コンビニ土下座事件*1のように分かりやすい恐喝であれば警察に通報する。
真摯に対応することで、お客様のレベルが③→②①に変化すれば有難いものですが、それを目的にして焦ってはいけません。
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これら①〜③の、どのレベルにお客様の気持ちがあるのかを見極めながら、まずはゆっくりと傾聴していきます。お客様の言葉を十分引き出さないうちに何とか収めようと焦ると、その意図は伝わってしまい気分を損ねることがあるので注意しましょう。
また、その場を取りつくろうためのウソもご法度です(案外多い!)。
3 . よくある間違い
① 頑なに謝罪しない
よくある間違いの一つが、アメリカ的な考えで謝罪したら『非があることを認めることになる』から頑なに謝罪しない、という対応です。
確かに、否を認めた謝罪は言質に取られるリスクがあるので、注意はするべきなのですが、その頑なな態度が余計にお客様を怒らせてしまうのです。
わざわざ自分の時間を使って意見して下さっていること、(真偽のほどはともかく)ご心配をおかけしてしまっていること、については素直にお礼と謝罪をしても大丈夫です。むしろそうする事で、お客様の興奮して硬直化した気持ちが和らぎ、その後の交渉もしやすくなるのです。
② 『戦いに勝つ』ではない
いかに戦うかではなく、いかに相手の立場に立って考えられるかが大切です。
心の奥底に「最悪戦うかも」という覚悟はしつつも、小細工抜きで相手の立場に立って考えれば、自ずとどう行動するべきかは分かるはずです。
4 . さいごに
さて、2回にわたってクレーム対応の基本的な心構えと姿勢を説明しました。
より細かな技術(傾聴とか、共感とか)はあえてここでは記しません。この手の話は参考になるであろう書籍も多いので、そちらをご覧になっていただけたらと思います。
ではでは。