Sow The Seeds

介護の現場から リーダーのためのブログ

「穏やかな老い・穏やかな死へのサポート」について法令にも明記する事が必要だ【持論】

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久しぶりの更新になります、yuです。

最近はもっぱらTwitterで遊んでました、すみません。

さて、そんなTwitterをしている中で、色々と論争と言いますか、ちょっと話題になった事がありました。

自立支援を積極的にやっている施設の事例なのですが

やってる側は「今までの療養上の世話に終始した介護は古い!あれは介護じゃない」とこき下ろす、逆に介護度の高い利用者を見るような施設の人は「それ軽度のお年寄りだからできる事でしょ、うちらの事こき下ろすのは筋違いじゃないか」と反発する(私は特養勤めなので後者寄り)。

これについては、どちらが正しいとかではなくて、施設形態によって人員配置やできる事も、お年寄りの状態も違いますから、お互いできる努力をやればいいんじゃないか、どちらかをこき下ろす必要ないよね、というのが私の結論なのですが…

この件に限らず、例えばオムツゼロとかもそうなのですが、介護業界には自立支援を理由にこれまでの介護を否定したり、普通に介護している人に劣等感を抱かせるようなことを言ったりして「何か新しい素晴らしいことやってるぜ!これからはこれだ!」というようなムーブメントが時々起こります。

参考過去記事▼

「療養上の世話は古い」とか、「オムツゼロ」とか、あとは私がよく言う「無理やり食事介助」とか…

それぞれ別個のことですが、実はこれらの問題が暴走する要因にはある共通の法則があります。

では詳しく解説していきましょう。

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読書感想【安楽死を遂げるまで】

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こんにちはyuです。

前回に引き続き、こちらの本の紹介です▼

安楽死を遂げるまで

安楽死を遂げるまで

 

著者プロフィール

スペインとフランスを拠点に世界各国で取材するジャーナリスト。海外の事件や社会問題から、政治、経済、スポーツ、医療まで幅広く活動する。6言語を操る。 最新刊に『安楽死を遂げるまで』

引用元:宮下洋一 YoichiMiyashita (@MiyashitaYoichi) | Twitter

 

前回の記事では、こちらの本で紹介されている、世界の安楽死事情について、各国の安楽死法や死にいたるまでの手段の違いなどについて解説しました。

今回は、著者が取材した実際に安楽死を遂げた人々やその家族のインタビューを紹介し、死生観や安楽死の是非などについて、私の所感を交えながら考えていきたいと思います。

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世界の安楽死事情まとめ【書籍紹介】

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少し前のことになりますが、この本を読みました▼

安楽死を遂げるまで

安楽死を遂げるまで

 

 著者プロフィール

スペインとフランスを拠点に世界各国で取材するジャーナリスト。海外の事件や社会問題から、政治、経済、スポーツ、医療まで幅広く活動する。6言語を操る。 最新刊に『安楽死を遂げるまで』

引用元:宮下洋一 YoichiMiyashita (@MiyashitaYoichi) | Twitter

 

 

この本には、実際に安楽死を支援する団体への取材、安楽死現場への立会い、残された家族への取材などを行った様子がかなり生々しく記されています。

涙なしには見れませんでした。

また、「死の現場」という観点だけでなく、安楽死が認められている国々の法的な違いや、死に至るまでの手段の違い、歴史なども分かりやすくまとめており、とても参考になりました。

ずっとこの本の読書感想をブログで書きたいなぁと思っていたのですが、内容が内容だけに身構えてしまって腰が重い…。

今回はその一歩手前として、こちらの本を参考に各国の安楽死事情の違いを備忘録的にまとめておこうと思います。

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介護士一人あたりの年間有給取得日数、0.6日→10日以上を実現するまでのプロセス

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こんにちはyuです。

平成31年度から有給取得の義務化が始まりますね。今まで職員の有給取得状況について意識していなかった・対策をしていなかった会社では、今から準備をしておく必要があります。

平成30年6月29日に労働基準法などの改正案を含む「働き方改革関連法」(働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律)が成立したことにより、平成31年4月1日から一定の条件を満たす労働者については、年に5日(以上)の有給休暇を取得させることが義務化される予定になっています。

参考:有給休暇とは?付与日数や義務化への改正情報まで徹底解説 | BizHint(ビズヒント)- 事業の課題にヒントを届けるビジネスメディア


知人の勤めるあの施設なんか、どうするのかすごく心配!

先日ツイッターにて、うちの施設は有給取得率が良いという旨をお伝えしたところ、ありがたいことにリクエストを頂きましたので、今回はそうなるまでの道のりをお伝え出来ればと思います。

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介護は「させて頂いている」のか「してあげている」のか、私的結論。

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「介護は『してあげてる』んじゃない。『させて頂いている』と思え」

いつからか、誰からか、そのような言葉をたまに聞くことがある。

介護の仕事は、意識して気をつけないと「してあげてる」感に支配される。年上の人に対する礼儀も、お客に対する礼儀もなくなっていくリスクのある仕事だ。それがエスカレートすると虐待だって起こりうる。

おそらく、そのようなリスクを危惧した誰かが、それを戒める意味で「させて頂いている」と教育するようになったのではないか。


・・・・・

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オランダの老人ホームでは、一年間に入居者の半数が亡くなっている?【記事紹介・解説】

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こんにちは、yuです。久しぶりの更新です。


介護業界では、よく「北欧に学べ」といった趣旨の話を聞くことがあります。

どういうことか、もう少し具体的に言うと、

「北欧は日本に比べて、ユニットケアやグループホームなど、生活の場としての老人介護体制が徹底されている。認知症ケア、個別ケアに手厚い。」

といったニュアンスで言われます。

集団的ケアから個別ケアへ。

事実、日本でも、北欧に倣ってユニットケアが導入され、いまでは全国の特養の半数近くを占めるまでになりました。

しかし、体裁の良い部分だけを輸入し、悪いところは(あえて?)伏せてきたのが、今の日本の介護業界であり、その歪みが現場の疲弊という形でいま起こっています。

表題にあげた「オランダの老人ホームでは、一年間に入居者の半数が亡くなっている」というのも、都合の悪い事実の一例です。

今回は、福祉ジャーナリストの浅川澄一氏の記事から、オランダの実態紹介と解説をしていきます。

※オランダは正確には北欧ではありません、地理的には西ヨーロッパに属します。ただ、日本でいう「北欧に学べ」も、その範囲の定義は曖昧です。北欧の中でも国によって制度には細かな差があるため、一概に「北欧=こう」と断定して語ることは出来ません。ここでは、欧米諸国の事例という括りで見ていただけたらと思います。

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「利用者:直接処遇職員」比率から考える、介護現場の運営方法

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「利用者:直接処遇職員」とは、利用者の数と職員の数の比率のことです。

お金のことだけを考えるなら、職員が少なくなるほどに収益性は良くなります。反対にサービスの質や労働環境だけを考えるなら、職員は何人でも増やして欲しいというのが現場の心情です。

この相反する要素をどの位置でバランスを取るのがベストなのか。

これを考える時に役に立つ数字となるのが「利用者:直接処遇職員」比率です。

よくある経営層と現場層の軋轢も、ここを共有しながら事業運営についてコミュニケーションが取れると、とても円滑になります。

今回は、「利用者:直接処遇職員」比率の考え方や、それをどのように解釈し、事業運営に役立てるのかというお話をしていきます。

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