Sow The Seeds

介護の現場から リーダーのためのブログ

介護は「させて頂いている」のか「してあげている」のか、私的結論。

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「介護は『してあげてる』んじゃない。『させて頂いている』と思え」

いつからか、誰からか、そのような言葉をたまに聞くことがある。

介護の仕事は、意識して気をつけないと「してあげてる」感に支配される。年上の人に対する礼儀も、お客に対する礼儀もなくなっていくリスクのある仕事だ。それがエスカレートすると虐待だって起こりうる。

おそらく、そのようなリスクを危惧した誰かが、それを戒める意味で「させて頂いている」と教育するようになったのではないか。


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オランダの老人ホームでは、一年間に入居者の半数が亡くなっている?【記事紹介・解説】

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こんにちは、yuです。久しぶりの更新です。


介護業界では、よく「北欧に学べ」といった趣旨の話を聞くことがあります。

どういうことか、もう少し具体的に言うと、

「北欧は日本に比べて、ユニットケアやグループホームなど、生活の場としての老人介護体制が徹底されている。認知症ケア、個別ケアに手厚い。」

といったニュアンスで言われます。

集団的ケアから個別ケアへ。

事実、日本でも、北欧に倣ってユニットケアが導入され、いまでは全国の特養の半数近くを占めるまでになりました。

しかし、体裁の良い部分だけを輸入し、悪いところは(あえて?)伏せてきたのが、今の日本の介護業界であり、その歪みが現場の疲弊という形でいま起こっています。

表題にあげた「オランダの老人ホームでは、一年間に入居者の半数が亡くなっている」というのも、都合の悪い事実の一例です。

今回は、福祉ジャーナリストの浅川澄一氏の記事から、オランダの実態紹介と解説をしていきます。

※オランダは正確には北欧ではありません、地理的には西ヨーロッパに属します。ただ、日本でいう「北欧に学べ」も、その範囲の定義は曖昧です。北欧の中でも国によって制度には細かな差があるため、一概に「北欧=こう」と断定して語ることは出来ません。ここでは、欧米諸国の事例という括りで見ていただけたらと思います。

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「利用者:直接処遇職員」比率から考える、介護現場の運営方法

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「利用者:直接処遇職員」とは、利用者の数と職員の数の比率のことです。

お金のことだけを考えるなら、職員が少なくなるほどに収益性は良くなります。反対にサービスの質や労働環境だけを考えるなら、職員は何人でも増やして欲しいというのが現場の心情です。

この相反する要素をどの位置でバランスを取るのがベストなのか。

これを考える時に役に立つ数字となるのが「利用者:直接処遇職員」比率です。

よくある経営層と現場層の軋轢も、ここを共有しながら事業運営についてコミュニケーションが取れると、とても円滑になります。

今回は、「利用者:直接処遇職員」比率の考え方や、それをどのように解釈し、事業運営に役立てるのかというお話をしていきます。

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【Google流】優れたマネジャーに必要な8つの要素

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優れたリーダーやマネジャーを発見し育成する事…

これはどの組織においても重要なテーマの一つであると言えます。

しかし業種による専門的な「技術」と違い、リーダーやマネジャーというのは「役割」であり、その人の人間性に依存するところが大きいです。

そのため、リーダーの選定・育成においてこれといった決定的な要因が社内で共有されず、「上司に好かれたアイツ」が出世し、稚拙なマネジメントやリーダーシップで現場を困らせる事も少なくありません。


世界的テック企業であるGoogleは、なんでも数値化したりデータを集めたり、研究することが大好きです。

そのGoogleにおいても「優れたマネジャーとはなんぞや?」というテーマは研究され、その結果は書籍を通じて公表されています(その結果は意外にも私たちに身近な内容となっています)。

今回は、Google流「優れたリーダーに必要な8つの属性」をご紹介します。

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介護施設の人事異動について考える

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人事異動。

どこの法人でも大なり小なり行っている事と思いますが、施設によって異動を行う目的意識、頻度、留意点などにずいぶんと差があるようで、組織マネジメントの観点から考えてみると中々面白いテーマです。

上手に考え抜かれた人事異動は立派な戦略・戦術になり得ますが、迂闊な異動は組織を混乱させたり職員を失望させたりとピンチを招く事もあります。

せっかくやるなら上手にやりたい。今回は人事異動にまつわるお話です。

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介護士よ、利用者の死を恐れる必要は全くない

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介護施設で仕事をしていると、「老い」や「死」に対する考え方も職員によってずいぶん違うのだということを実感します。

本来それらの専門職でもあるはずの介護士ですが、実際にはそこまで死生観に踏み込んだ教育はなされていないですし、なんなら施設長クラスの人であっても、あまり真剣に考えたことがないという人も大勢います。

介護の仕事をしていて時々見聞きする、介護士の「利用者の死への恐怖」。

全く怖がる必要はないですし、むしろ怖がっているうちは介護士としては半人前ですよということを、今回はお話しさせて頂きます(煽るような言い方ですみません)。

特に役職に就かれているような方は、介護施設の組織づくりという点から、よく読んでおいて下さい。

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「科学的介護」の推進は、たぶん大失敗する

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政府が推進している科学的介護。

  • どのような状態に対してどのような支援をすれば自立につながるか明らかにし、自立支援等の効果が科学的に裏付けられた介護を実現するため、必要なデータを収集・分析するためのデータベースを構築する

  • ケアの分類法等のデータ収集様式を作成し、データベースの構築を開始し、2019 年度に試行運用を行い、2020 年度の本格運用開始を目指す


皆さんはこの方針をどのように考えますか?うまくいくと思いますか?それとも的外れな施策だと思いますか?

私は、高確率で盛大に失敗するだろうと思っています。今回はその理由について語らせて頂きます。

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