Sow The Seeds

介護の現場から リーダーのためのブログ

統計・歴史・心理学からみる、少子化の原因と豊かな社会に関する考察

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少子高齢化の加速は誰もが認識している社会問題の一つです。

今までの記事でも紹介した通り、急速な長寿化が進み高齢者で溢れかえった人口構造と、それにかかる社会保障のお金、当然国は若い人向けに十分なバックアップをすることが出来ない懐事情、ますます加速する少子高齢化。そんな悪循環に陥っているのが今の日本です。

参考過去記事▼


と言っても、今回お話したいのはそのような世代間の対立を煽るものではなく、少し違った視点です。

「統計・歴史・心理学からみる少子化の原因」から「豊かな社会って何だろうね」と言うやや哲学的な事を考えていきます。

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ヒト本来の寿命は50〜60歳という生物学的視点【書籍紹介・安楽死・死生観の授業6】

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現在、日本における平均寿命は男性は80.79歳、女性は87.05歳。

その昔、織田信長は「人生50年」と言ったそうですが、いま人生を50年と考えている人はほとんどいないでしょう。


ある生物学者の方はこのように言っています。

サイズの生物学というのですが、大きい動物ほど脈拍はゆっくり、小さい動物は脈拍が早い。しかし長生きのゾウであれ、短命のネズミであれ、一生のうちに心臓が脈打つ回数は15億〜20億拍である

寿命に違いのあるこれらの動物も、一生のうちの脈打つ回数は同じわけだから、時間の感覚がゆっくりか早いかという密度の違いだけで、一生を使い切ったという感覚は同じなのではないか。


一生の脈打つ数は同じ。この法則を人間に当てはめるとどうなるのか・・・。生物学的に見るとヒト本来の寿命は50〜60歳程度になるようなのです。

現代社会は文明の発展とともに随分と長生きする事が可能な社会になりました。しかしそれによって「ボケ」や「老後の不自由」の恐怖に私たちが囚われているのもまた事実、少子高齢社会に悩んでいるのもまた事実です。

人はどのように生きてどのように死んだら良いのか、改めて生物本来の視点から考えてみるのも面白いかもしれません。

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職場で徒党を組んだりイジメをしたりする人達は「仕事=〇〇〇〇〇」を分かっていない

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集団で仕事をしていると、やたらと徒党を組みたがる人達がいます。

それは派閥になったり、自分たちに都合の悪い人を排除しようとする手段を選ばぬイジメになったり、仕事そのものよりも上司の顔色を優先させた判断をしたり…そのような言動には「あのー、仕事しにきてるんだよね?」と首を傾げたくなります。

なぜこのような事が起こってしまうのか。なぜこのような人達が生まれてしまうのか。

先日読んでいたある本で、なるほど!と腑に落ちるところがありましたので、紹介させて頂きます。

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介護施設に監視カメラは必要か【老健それいゆ、利用者死傷を受けて】

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岐阜県高山市の介護老人保健施設「それいゆ」で、7月末から5名の利用者が立て続けに死傷するという事故(事件?)がありました。

www.sankei.com

虐待が疑われている職員は、問題が公になる直前に退職をしたそうですが、その職員が白か黒かという事については、ここでは書きません。

お年寄りは本当に怪我をしやすく、当事者でない私にはどちらの可能性もあり得るとしか言いようがないからです。ただ経験則から言わせて頂くなら、半月で5件これだけの重症事故ってそうそう起きません…

※2019.2.3追記:元職員が逮捕されました▼

www.asahi.com



介護職員による虐待というと、これまでにも家族が設置したカメラによって事件が発覚するという事例が多くありました。

参考▼


今回は、老人ホームにおいて「施設自らが監視カメラを設置するべきか否か」という事について考えていきたいと思います。

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戦力の逐次投入という愚策について(ユニットケアにおける人員配置)

「戦力の逐次投入」
歴史や近代史に詳しい人であれば聞いたことがある人もいるかもしれません。軍事における言葉でして、良くない戦術の一つとして有名です。

失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)

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さて、以前開設に携わらせてもらったユニットケア施設(100床10ユニット)において、私は、もしかしたらこの愚策をしてしまっていたのではないかと思いまして、今回は忘れないために振り返っておこうと思います。

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部下からの「耳の痛い話」が嬉しい

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問題の大小に関わらず、部下から嫌な報告や指摘を受けることがあります。

例えば私自身の問題。仕事に対する姿勢であったり、施策に対する反対や、部分的な指摘であったり。

例えば部署の問題。事故やクレーム、職員間の問題、知りたくなかった職員の汚い部分であったり。

それらを聞くと当然私はショックを受けます。辛い気持ちになったり、怒りが沸いてきたり、「耳が痛いな〜」と頭を抱えます。しかし、こうした話をしてくれた職員に、私は感謝の念しかありませんし、内心とても嬉しく思っています…

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「何人いれば足りるの?」介護現場を数字でマネジメントしてみよう。という話

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こんにちは、yuです。

この業界に身を置いていますと、皆「いかに良い介護をするか」という介護士個人の技術論に興味が偏りがちな印象を受けます。

しかし介護のような労働集約型の仕事の場合、良いサービスを提供するためには「現場の労働力をどのように分配するか」「いかに安定した状態を作り維持するか」というマネジメントが実はとても大切です。

残念ながら、そのような視点をきちんと教わっているリーダーや主任はあまりいません。いちプレイヤーのまま役職がつき、マネジャーへの変革が出来ず、もがいている人が多いのです。

今回は勤務表の作成を例に、数字を用いた介護現場のマネジメントについて綴っていきます。

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