こんにちは、yuです。
今年の介護報酬改定について調べていて、ふと思い出したのですが、入居者さんが体調不良の時に行う通院の付き添いについて。
これって完全にマンツーマン対応ですから、けっこう大変なんだけど…
というのが今回のお話しです。
[目次]
1 . 老人ホームにおける通院までの流れ
特養には協力病院というところがあります。
定期的にその協力病院からのお医者さんが往診に来てくれるので、ちょっとくらいの体調不良ならそこで薬を処方してもらうなど対応が出来るのですが、突発的かつ重症な場合、脳外科など専門医に診てもらう必要がありそうな場合、そのような時には外部の医療機関に通院する必要が出てきます。
ウチの施設では基本的に看護師が同行しますが、看護師が人手不足の時には、私も付き添いをする事があります。
これ、けっこうな業務なんですよね。
待ち時間、様々な検査を行い、そのまま入院の手続き…午前中に行って夕方まで施設に戻れないなんて事もしょっちゅう、まぁ時間を取られています。
2 . 通院付き添いは特別待遇
例えばウチの施設で言うと、介護士、看護師、相談員、全て足しても日中は『職員1人:利用者5人』くらいの割合でサービスを提供しています。
夜中は『職員3人:利用者60人強』です。
受診の付き添いとなった場合、それは完全な一対一の個別対応となるわけですから、その負担(現場の業務的にも経営的にも)は相当なものです。
これに別途料金が発生しないというのが、昔から納得出来ないでいます。
3 . 現行法はこうなっている
特養における通院付き添いについて、今の法律ではどのようになっているか確認してみます。
入所者の通院に係る費用は、徴収することはできません。基本的に当該施設の介護サービスの一環として行われるものである。
ただし、遠方の医療機関へ入院等(具体的には 専門の病院に通院させるため、往復4時間、検査等の付き添い時間を合わせるとほぼ1日時間を要するような場合(交通不便地のため公共交通機関の利用も困難))は、交通費について実費相当を徴収することに差し支えはない。ただし、人件費は不可。
このように「施設の介護サービスの一環」、つまり排泄援助を何回しようが食事介助をしようがしまいが基本料金が変わらないのと同じように、通院の付き添いに関しても通常業務の一つとしてやって下さいね。という考えです。
原則家族に付き添いお願いする事も出来ません(入退院の手続きで家族への説明やサインが必要な場合、家族が付き添いを望む場合は除く)。
4 . 方法論(案)
現行法に従えば、今まで通りやっていくしかない。でも腑に落ちない。
私は社会保障は大切だと考えていますが、この介護業界がボランティア精神に頼った「安い給料で沢山働く」業界のままではいけないとも考えています。
今までにも言ってきたように、仕事はより限定化し社会保障給付の膨張を少しでも和らげる流れと、職員個々に流れる給与水準はより上げていく流れ、両方が必要だと考えています。
関連過去記事▼
① 家族の協力制にする
通院同行を申し出て下さる家族もいます。ではそれに頼って良いように法改正するか。
お年寄りの体調不良の突発性や頻度からいって家族がタイムリーに同行するのはまず不可能です。遠方の方もいます。身寄りがいない方もいます。
家族対応に統一する事は実質ムリですね。
② 別途利用料を徴収
これはありだと思います。ただあまり高い料金設定は出来ないでしょうから、1回5000円(付き添いにかかった時間給前後)くらいが妥当ではないでしょうか。
③ 別途加算を申請する
これもありだと思います。というか、こうしてほしいです。
保険者に報酬請求する際に、通院にかかった回数を申請して、所定の金額×通院回数分が事業所に支給されるという。
事業所の立場、利用者家族の立場から言ったら、これが一番納得感があると思います。
※問題点
とは言え、この「別途加算を申請する」方法には指摘されるであろう問題点があります。
加算目当てで通院を過度に行う施設が現れるのではないかという懸念です。
実際今でも、看護師によってすぐ受診させたがる人、なかなか受診させてくれない人、看護師の専門性と言ってもその判断は様々です。
国からお金をもらう以上、その通院判断の妥当性が問われる事になります。
しかし受診の前後には、利用者の状態を看てきた看護・介護記録が必ずあります。ちゃんと記録に残っていて、ここから受診の妥当性が判断できれば、根拠としては十分成り立つはずです。
5 . さいごに
おそらく、この問題は側からは分からない細かーい話だと思います。
ですが、このような少しの事でも「チリも積もれば山となる」、少しずつ声を上げ、改善に繋がっていけばと思うのです。
現場と経営、事業所と国、少しでも率直に意見を交わし合い、気持ちよく働ける業界でありたいですね。