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介護の現場から リーダーのためのブログ

長時間夜勤施設が90%超、16時間夜勤が減らない本当の理由

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先日、このようなニュースがありました▼

日本医療労働組合連合会が9日に公表した介護施設の夜勤に関する調査の結果 −− 。厳しい長時間労働になりやすい2交替制をとっている施設が、全体の92.5%にのぼると報告されている。前年から2.3ポイント上昇。このうち81.1%では、1回の長さが16時間を上回る夜勤が行われていた。医労連は夜勤の人員配置基準や介護報酬を引き上げるべきだと主張。広く議論を喚起するとともに、厚生労働省や国会議員などに改善を求めていくとしている。
 
この調査は、昨年の6月から10月にかけて実施されたもの。特養や老健、グループホーム、小多機など165拠点、4265人からの回答を集計したという。

articles001.joint-kaigo.com

 私の所属する法人では、従来型特養では16時間夜勤、ユニット型施設では8時間夜勤が行われています。

長時間労働が身体に悪いという事はわかるのですが、16時間夜勤の方が利用者職員共メリットが多い、合理的な理由がそこにはあるのです…

 [目次]

 

 

1 . はじめに

16時間夜勤、8時間夜勤と言われてもピンとこない人のために、簡単に説明しておきます。

8時間夜勤

例として

  • 早番(7:00〜16:00)
  • 日勤(8:30〜17:30)
  • 遅番(13:00〜22:00)
  • 夜勤(22:00〜翌7:00)実労8時間

のような勤務体制です。


16時間夜勤

  • 早番(7:00〜16:00)
  • 日勤(8:30〜17:30)
  • 遅番(10:00〜19:00、11:00〜20:00)
  • 夜勤(16:00〜翌10:00)実労16時間

のような勤務体制です。



2 . 働く環境として考えると

8時間夜勤と16時間夜勤、働く環境として考えた時のメリットデメリットを考えてみましょう。

8時間夜勤

1勤務あたりの心身の負担は8時間夜勤の方が少ないです。

一方で、夜勤明けの日が「公休扱い」となるため、丸々1日休める日は少なくなります。

8時間夜勤のデメリットとしてもう一点。それは遅番(13:00〜22:00)の存在です。

仕事の後に知人と食事に出かけたい、買い物など諸用を済ませたい、家族と過ごしたいといった時に、仕事が終るのが22:00ですから、プライベートの時間を有効活用しづらいという事もあります。


16時間夜勤

16時間夜勤の方が、1勤務あたりの負担は大きいです。

しかし、1勤務あたり2日分働いたことになりますから、夜勤明けの日は「勤務扱い」となり、別途丸々1日の休日が付きます。

元気な職員だと「夜勤明けで遊びにいく、さらに翌日の休日を満喫する」といった具合に、休日が多くなったような過ごし方をする人もいます。

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どちらが良いかは人によるので、両方体験してみて自分のライフスタイルや価値観に合わせた職場を探すのが良いのだと思います。

私の経験では、現場職員は16時間夜勤を支持することが多い印象があります。




3 . 介護施設をマネジメントするコツ

次に、16時間夜勤と8時間夜勤の違いをサービスの組み立てという面から考えていきます。

24時間365日行われている介護施設サービス。これを安定的に提供するためには、ちょっとしたコツがあります。それは…

朝・昼・夕食時に均等に人員を配置する事です。

朝食時

朝食時というのは、朝の起床援助から始まります。

起床援助、食事の準備、食事の介助、この一連の流れをスムーズに行えるかどうか。それによって日中の業務をスムーズに行えるかどうかが違ってきます。


夕食時

夕食時というのは、その後の就寝援助も含みます。

夕食介助、就寝援助、ここまでを一連の流れとして行う事が多く、これにも多くの労働力を伴います。


安全安定のケアができない理由

私たち介護士は、本来は丁寧安全な食事介助を毎回安定して提供したいわけですが、職員が少なければ慌ただしいやり方にならざるを得なくなり、それが普段のやり方になっていきます。

朝・昼・夕どこかの時間の人手が薄くなると、その少ない人員の時のケアが基準になってしまい、人のいる時間でもなかなかその時の癖が抜けなくなってくるのです。

また、日中は丁寧にできたとしても朝晩はいいかげん…というのもケアの質にムラがあるという意味であまり望ましくありません。

つまり、朝・昼・夕食時の労働力をなるべく均等に配置する事が、安定したケアを提供するためには欠かせないことになるのです。


16時間夜勤の方がやりやすい

朝・昼・夕食時の労働力をなるべく均等に配置する…

これを実現しようとした時には、16時間夜勤の方が合理的な場合が多いです。

ユニットケアを推進する立場の人から「8時間夜勤にすれば、その分日勤者が増える」という主張を聞く事がありますが、日勤者がカバーできる時間は「朝〜昼」か「昼〜夕」のいずれかです。朝か夕、いずれかの時間がどうしても手薄になります。

また、パートさんがいる時間は大抵は昼間です。日中は職員を多く配置しやすいけど、朝夕は正社員しかいないため手薄になります。

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16時間夜勤だと、その労働力を朝と夕の時間に分散できるため、朝・昼・夕食時の労働力を均等に配置しやすいのです。

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4 . 何が問題なのか

ここまで見てきたように、実は16時間夜勤は合理的なやり方ですし、それ自体に罪はありません。

もっとも留意すべきなのは、夜勤中の労働量です。

夜間帯の業務は心身への負担も大きい上に、何かトラブルがあっても少人数で対応しなければならないことから、基本的なルーティンワークは最小限に抑えておくようにする必要があります。

日勤同様の感覚で「時間目一杯ルーティンワークを詰め込む」という事は避けなければなりません。

周りからは座ってのんびりしているように見えるくらいがちょうど良いのです。

また、これと合わせて休憩時間がしっかり取れるような人員配置も必須です。


私個人の意見(好みも含めて)は「労働環境を整えた16時間夜勤がベスト」という考えです。



5 . さいごに

限られた人数で安定したサービスを提供するためには、16時間夜勤の方が合理的。したがって今後も16時間夜勤の施設が少なくなる可能性は低いでしょう。

よほど介護業界が優遇され、儲かる業種、人気の職種、充実した人員配置も可能、とならない限り8時間夜勤の普及は起こりえません。

しかし、もっともしんどいのは労働環境の整っていない中での16時間夜勤です。

労働実態やサービス提供体制の実態に合わせた業務の組み立てと人員配置をする事が、介護施設のマネジメント層には求められます。