Sow The Seeds

介護の現場から リーダーのためのブログ

褒める事と叱る事、どちらが大事かと聞かれたら、こう答える。

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「見て覚えろ」
「褒めて伸ばせ」
「今時の子は叱るとすぐ折れる」…

どのように育てるのが正しいのか、また効果的なのか。人材育成に悩めるリーダー職は多いですよね。私も日々格闘しています。

よく出る話として、「褒める事と叱る事、どちらが大事か?」と聞かれたら、私はこう考えます。


[目次]

 

 

1 . 本質は何か

会社では、組織の一員としてあるべき姿や行動があります(実績、実績を上げる為のノウハウ、倫理、礼儀など)。

しかし、これを新人達に「なんでこんな事もわからないんだ」と嘆くのは早計です。これまで受けてきた教育も、個人の価値観も違うのですから、当人達には「求められている事、いない事がわからない」という場合がほとんどです。

【褒める事】
その人が望ましい行動をした時に、それを肯定する事で、今後も望ましい状態を維持してもらえるようにする。今後も道を踏み外さぬよう、そこに留めておく。


【叱る事】
その人が望ましくない行動をした時に、それを注意する事で、望ましくない現状に気づきを与え、望ましい行動に導く。


褒める事と叱る事、違う事のようで実はその本質は同じことをしているのです。
どちらも望ましい状態への導きであるという事です。

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2 . 本質は何か その2

褒める事、叱る事には「望ましい状態への導き」の他に、もう一つ重要な意味があります。それは「あなたの事を、ちゃんと見ていますよ」というメッセージを伝えるという事です。

その人のことを気にかけていなければ、正しく褒める事も叱る事も出来ません。
これらの行為が、その人に対して無関心でないという事を伝える事になります。



3 . 注意点

実際に褒める叱るを実践する上で、注意しておくべきポイントを4つ紹介します。

 

① 判断基準が明確でなければ、出来ない

上の図で示したように、褒める際叱る際には、判断の根拠となる基準があるはずです。それをきちんと説明出来なければいけません。その場の気分で言う事を変えるような、一貫性のない言動もダメです。

基準が曖昧なままでは、褒める事も叱る事も出来ません。

何が正しくて、何が正しくないのか、普段から良く考えておく必要があります。また、基準が誰の目にもわかるような工夫(業務の標準化や規定など)も必要かもしれません。

② 叱るに終始する人はダメ

望ましくない姿というのは目立ちます。ミスがあった、苦情があった、成績が上がらない、これらの事は報告書に上がったりして嫌でも目につきます。

一方、(売上など数字になるもの以外の)良い姿というのは、報告書で上がってくる事はありません。つまり、良いところを見ようとしなければ、探そうとしなければ気づいてあげる事は出来ません。

褒めること、叱ることの本質は『「あなたの事をちゃんと見ていますよ」というメッセージを伝える事である』と説きました。しかし、ちゃんと見ていなくても叱る事だけなら出来てしまうのです。

 

③ 人によって使い分けも必要

入社1年目の新人と、5年目の中堅では、求められる働きが違います。求められる働きの度合いに応じて、褒める内容、叱る内容も変わってきます。

 

④ 個人の問題か、構造上の問題か

よく物理的な無理難題を押し付けて、「あとは自分でなんとかしろ」という根性論がありますよね。

しかし、部下個人の能力の問題ではなく、組織の構造上の問題である可能性も考えられます物理的に無理なものを何とかしろと言われても、無理なものは無理です。何の指導にもなっていません。それを何とかするのはむしろ上位者の役割です

個人の問題か、構造上の問題かを見極める目が必要です。そして構造上の問題だと気づいたなら、部下を叱る事より先に自分が反省し、改善の為に行動するべきです。



4. 結論

褒める事、叱る事の本質は以下の2つである。
①  望ましい状態への導き
②「あなたをちゃんと見ている」というメッセージ

この2つを理解していれば、自ずとどちらかに偏る事にはならない。褒めない叱らないという無関心にもならない。
「どちらかが大事」というよりは、「どちらも正しく実践すること」が大事。