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介護の現場から リーダーのためのブログ

介護施設における虐待問題を考察する【クローズアップ現代プラス】

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6月4日(火)NHKのクローズアップ現代プラスで『介護施設“虐待死”なぜ?』と題した放送がありました。

www.nhk.or.jp


5月末に報道された介護付き有料老人ホームの入居者死亡事件を受けて、介護施設における虐待問題について取り上げたものです。

介護付き有料老人ホーム「サニーライフ北品川」で4月、入所者の男性が暴行を受けて搬送先の病院で死亡する事件があり、警視庁捜査1課は22日、殺人容疑で、元職員の根本智紀容疑者(28)=東京都新宿区北新宿=を逮捕した。調べに対して、「暴行を加えたことはない」と容疑を否認している。

引用元:介護施設で入所者の男性死亡 殺人容疑で元職員を逮捕 警視庁 - 産経ニュース


容疑者は容疑を否認しており、事件の全容がはっきりとはしていない中で軽率なことは言えませんが、今回お亡くなりになられた方が少なくとも穏やかな老い、穏やかな死とは言えない状況だったことは確かでしょう、ご冥福をお祈り申し上げます。同業者として、重く受け止めたいと思います。

クローズアップ現代プラスでは、この事件についての取材と有識者による解説がされていました。

同業者の中でも放送内容について様々な感想の声が上がっていますが、私としましては「尺が足りない、ゆえに説明しきれてない」というのが感想です。

今回は私なりに番組の続きと言いますか、補足と言いますか、そのようなつもりで高齢者施設の虐待はなぜ起こるのか、どうしたら減らせるのかということを考えていきたいと思います。

 

[目次]

 

 

はじめに

番組の尺が足りなかったと冒頭に述べましたが、介護施設の虐待について語ろうと思ったら30分では説明しきれません。

「〜すれば解決できる」そう一発逆転できるような単純な問題でもなく、複合的な対策が求められます。

私自身、これまでにもこうした問題について記事にしたことがありますので、良かったらそちらもご覧になっていただければと思います。



ごちゃごちゃした問題を分かりやすくする意味で、今回の記事では、この高齢者施設の虐待問題を

  1. 職員〜施設
  2. 介護業界
  3. 国、政策

の3つの単位に分けて、それぞれに語っていきたいと思います。



1 . 職員〜施設の問題

まずはじめに、番組を見ていて、今回の事件について気づいた点をいくつか。

虐待の兆候、真偽について

今回の事件、容疑者は暴行を否認していますが、入居者の足を持って引きずる様子が監視カメラに映っていたこと、またその後に「静かにさせてきた」と一緒に勤務していた同僚の職員に話していたことなどから、暴力や脅しなど何かしら強引な手口を用いていたのではないかという事が推測されています。

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引用:6月4日(火)放送 NHK クローズアップ現代プラスより

運営会社は会見の中で、この職員について「これまで問題を起こした職員ではありませんでした。」と語っていましたが、私の経験上、多くの虐待ケースでは必ずと言っていいほどその兆候は事前にあります。「問題がなかった」でなく「問題の兆候を把握していなかった」可能性が高いと考えます。

番組の取材では、容疑者と一緒に働いたことのある職員から、容疑者の普段の仕事ぶりが語られていました。

  • 皆が制服で仕事をする中、自分は私服でラフな格好をしていた
  • 禁止されているスマホを持ち込んでいた
  • 歩き回る利用者を宿直室で寝かせていた
  • 自分のやりたいようにやる人だった

見守りが大変な方をヘルパー室内で寝かせている様子▼

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引用:6月4日(火)放送 NHK クローズアップ現代プラスより

正直、これらの行為一つひとつを持って、この容疑者を危険と断定することは出来ません。

ただ、この容疑者が虐待をしているのではないかという内部通報が2年前にもあったこと(証拠がなかったため断定できず処分なし)、以前勤めていた介護施設で仮病を使ったり同僚の持ち物を盗んだりしたという過去も明らかになっています。

反省するものに手遅れはないとは言いますが、協調性や組織性や態度面などにおいて、普段の仕事ぶりからしてちょっと危ない兆候が見受けられる職員というのはありまして、その特徴に非常に酷似している印象を受けてしまいました。

普段真面目な職員が激務に追い詰められてしてしまったのとは、ちょっと別のタイプの事例なのではないかと推測しています。

私たちの世界では『虐待の芽』という言い方をする事がありますが、ちょっとした綻びがエスカレートするとしだいに虐待にまで至ってしまう、こうした現場で起こっている兆候を会社側は把握していなかった(或いは把握していても気に留めていなかった)のではないでしょうか。


管理体制(施設の造り)

この施設は全66床に対し、3名の夜勤者が配置されているそうです。

夜勤者一人に対し利用者は約20名、老人ホームの配置としては一般的な配置人数だと思います。

一つ気になったのが、この施設は3階建てだそうですが、66名が3フロア(1フロアあたり約20名)になっているのか、私のいる施設みたいに1階は別で、2〜3階の2フロア(1フロアあたり約30名)になっているのか。

うちの施設のような2フロアの場合、3名いる夜勤者のうち1名は各階を行き来しヘルプに入ったり、休憩をとってもらう間そのフロアに待機したりといった動きが出来ます。

しかし3フロアであった場合には、それぞれのフロアに職員が1名ずつとなるため、ヘルプを呼ぶ事が出来ない、休憩を取れない、職員間の見守りが出来ないなどの問題が起こります。

この施設がどのようになっているのかが気になるところです。


管理体制(当日の職員)

事件のあった日、勤務していた職員は容疑者の他2名は外国人スタッフだったそうです。

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引用:6月4日(火)放送 NHK クローズアップ現代プラスより

容疑者はこの会社に2014年に入社、勤続約5年ですから中堅と言っていい時期です。

そこに外国人スタッフが2名。おそらく、組織の上下関係的に、彼のやり方に疑問を持ったとしても口出しできるような状況ではなかったのではないでしょうか(外国人だからと偏見を持っているわけではありません)。

虐待予防について、複数名で勤務することによるメリットは

  1. 互いに困ったときに助け合えること
  2. 互いに良い意味で牽制し合い、冷静な勤務態度が取れること

です。

今回は、そのどちらも機能していない状況があったのではないでしょうか。

 

 

管理体制(新設の施設である事)

サニーライフ北品川は、2018年11月にオープンしたまだ新しい施設です。

私もオープニングの施設で勤務した経験がありますが、新たらしい施設はとにかく混乱しやすいです。

  • 開設時からハイペースで入居が進むため、新しい住まいに落ち着かない利用者が多い。また、職員側も個々に合わせた最適な対応を見出せないでいる
  • 新人職員も多いため、職員の教育が間に合わない
  • これまでリーダーやマネジメント経験のない職員が急にそれらを任されるようになるため、本人も部下も疲弊したりトラブルに発展しやすい
  • 業務上のオペレーションや、職員間の連携がうまくいかない、職種間の連携もうまくいかない、などなど

会社HPを見ても、ほぼ毎月のように新規施設をオープンさせていることから、これらのような中々落ち着かない状況があったのではないでしょうか。

介護人材は東京都内で有効求人倍率7倍ですから職員確保も簡単ではありません。職員の充足状況(経験者の割合も含め)もどうだったのか気になります。


職員〜施設で気をつけたいこと

ここからは、事件の件とは一旦切り離して一般論としてお話しします。

番組の中では、虐待が発生する要因と対策について言及されていました。

要因については、『厚生労働省「平成29年度 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果』から、上位3つを引用し紹介していました。

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https://www.mhlw.go.jp/content/12304250/000491672.pdf


番組で紹介されていた別の施設では対策として、アンガーマネジメントの研修を職員に行っており、利用者の対応に困った職員が他職員に代わってもらうことで、カッとなって虐待に至ってしまうようなことを防げたという場面が紹介されていました。

まず要因についてですが、このアンケート調査は施設の管理職以上が回答している事がほとんどです。多くの施設では教育不足と職員の技術・資質の欠如によって虐待が起こってしまっていると捉えているようですが、この認識がまず甘いと言わざるを得ません。

対策についても、アンガーマネジメントは確かに技術です。しかしこれも結局は職員自身でなんとかして下さいと言っているようなもので、実は管理側の責任逃れになってしまってはいないでしょうか。

番組では『その場を離れる』『他職員に代わってもらう』という場面を紹介していましたが、夜間帯など職員が少ない時間は特に、施設によっては代わってもらう職員自体がいない場合も多くあるのです。

そんな中、カッとなった時に一時的に利用者から離れようとしても、離れてしまっては転倒などの事故のリスク(そこから訴訟のリスク)もあるため離れられない、そのような逃げ場のない環境が多くあることを、よく理解しておく必要があります。


教育も大事ですが、働く環境も大事です。

どんなに誠実な職員でも「明日は自分が加害者かも」怯えていますし、追い詰められ思わずキツく当たりそうになってしまう自分自身が嫌いになってしまったり、戦っているのです。

この仕事は確かに向き不向きのある仕事ですが、程度の問題で、皆んな大なり小なり弱さや攻撃性、怠惰など負の感情も抱えています。誰もがカッとなって虐待してしまうリスクはあるのです。

例えばサニーライフ北品川の事件でも

  • 容疑者のヘルプに入れる・牽制できる職員が一緒に働いていれば
  • 3フロアではなく2フロアだったら
  • 開設時から職員の充足状況、教育状況に合わせた入居受け入れをしていたら

あくまで仮定の話ですが、これらの条件が違うだけでも虐待の起こる可能性はずいぶんと軽減されます。

以前私が務めていたところで、特養で一人で勤務をしているとどうしても利用者に強く当たってしまう、自分でもコントロール出来ないと悩んでいた職員がいました。

その職員は、本人と相談の上でデイサービスに異動となりましたが、そこでは周りの職員と声を掛け合いながら、明るい表情で働けるようになりました。

性善説でも性悪説でもなく人は虹色です。良い方にも悪い方にも、環境によっていかようにも変わりうるのです。 

職員が追い詰められない、弱さや醜さが表出しないで済むような環境を作る努力を最大限しなくてはなりません。



それからもう一つ、番組の中では対応の難しい利用者について紹介されていました。

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引用:6月4日(火)放送 NHK クローズアップ現代プラスより

多くの職員が、利用者の「暴言・暴力」「頻コール」「介護拒否」「徘徊」など、様々なことに対して困っている状況です。

こうした問題に対して、組織的にフォローできる仕組みが整備されているか。

働きやすさ、延いては虐待を予防するに当たって、この点はとても重要です。

  • 対応が難しくても職員個人の資質の問題と片付けてしまう
    暴力、セクハラなどに対しても同様
  • 適切に医療連携が出来ない
  • 職員のマンパワーを考慮しない入居受け入れ
  • 入居者の状況を考慮しない人員配置
  • 一部の家族の過剰な要求に応える→現場に丸投げ
    など

こうした状況がそのままになっていると、当然現場の職員は追い詰められ、虐待に至ってしまうリスクは高くなります。

現場介護職〜他職種・管理職など、立場を超えた風通しの良さや、対応のレスポンスの良さが大切です。

こうした対応には上司の知識(日々の研鑽)と、時には汚れ判断も辞さない勇気が求められます。

例えば、身体拘束の問題について、以前こんな記事を書いたことがありましたので、良かったら参考にして下さい▼

www.sow-the-seeds.com

身体拘束で言えば、基本的にはしたくないものですが、綺麗事だけではどうにもならないことも時には起こります。そうした時には、施設の責任で、きちんとした手順を踏んだ上で、ベストではなく、皆にとってベターな判断を心がけるようにします。

ちなみに番組の中では、ストレスを抱えた職員の相談を受け付けるコールセンターを設置し対応している会社の事例が紹介されていましたが、それって逆に言えば施設ごとの管理職が機能していないことの表れでは?とも思ったり…



2 . 介護業界の問題

前章では、報道にあった施設のことを見ながら施設内の問題について考えてきました。

次に、介護業界全体が抱える問題点について考えていきたいと思います。

働き手の供給が追いつかない

ご存知のように、介護業界は今人手不足に喘いでいる状況であり、それが様々な問題を悪化させる主要因となっています。

下の図からも分かるように

  1. 高齢者の増加と生産年齢層の減少という人口構造の変化
  2. それに呼応した介護施設の増加
  3. しかし有効求人倍率は高く、働き手の供給が追いつかない

というのが現在の介護業界の悩みです。

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出典:厚労省「社会保障審議会 介護保険部会(第75回)平成31年2月25日」より

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出典:内閣府「平成30年版高齢社会白書(全体版)」より

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出典:厚労省「第165回社会保障審議会介護給付費分科会」より

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出典:厚労省「第165回社会保障審議会介護給付費分科会」より

 

配置基準を満たしても、労基法は守れないという問題

介護施設は運営するにあたって国が定める様々な『運営基準』を満たしていなければなりません。

ただし、ここで注意が必要なのが、運営基準を満たせば労働基準法を守れるかというとそうではない、という事です。

このブログでも散々紹介してきた「利用者3:職員1」以上という基準。

実際に勤務を組むと分かるのですが、この基準を満たしていても、それだけでは休憩時間が確保できなかったり、残業で現場を繋ぐような状況が生まれてしまうのです。

充分に職員を確保出来ていないような施設では、このように休憩時間を削ったり残業やサービス残業に頼って運営されているところも少なくありません。

また、小規模な施設では夜勤は一人という所もあるため、そこでは実質的な休憩時間はありません。「利用者が寝ている間に適当に体を休めてくださいね」というグレー(黒か)な状況が黙認されているのです。また、こういった所で労基法まで完璧に満たせるよう人を雇うことを条件にしたとしても①職員が集まらず運営ができなくなる②介護報酬上経営が成り立たなくなる、などの問題が発生するでしょう。

そもそも構造的な欠陥を内包している状態なのです。

職員が安心して働けない環境において、安定したサービスがあり得ないのは想像に難くありません。


望む人材を雇えないという問題

多くの施設では、求職の応募すらままならない状況です。

施設は配置基準を満たせなければ運営そのものが出来なくなりますから、余裕のないところでは適正をしっかりと見極めず誰かれかまわず採用するということが起きています。

特に昨今の有料老人ホームの増加は急激です。性急な事業拡大に伴いこのような傾向は強くなっているのではないかと推測します。

能力や適正に欠いた新人さんが、経験も教育も満足にないまま現場に丸投げされる、教育を任せられた既存職員の苦労は大変なものです。


正しく信賞必罰がなされない問題

誰かれかまわず採用するのと併せて、辞められては困るからと、多少問題のある職員であっても目をつむり、適切な信賞必罰がなされていないケースもあります。

また力量ある職員がいない(或いは教育が間に合わない)中で事業の拡大が進み、実力を伴わない職員、時には業務上問題を抱えている職員でさえ役職に登用してしまうこともあります。

このような状態が、そこで働く職員にとっても、利用者にとっても良い影響があるはずがありません。

不適切な介護が放置されてしまったり、一部既得権を持ったベテラン職員によって新人さんがいじめにあったり、仕事に誠実な職員ほど失望して辞めていったり、完全に悪循環に陥ってしまいます。


育成が間に合わない問題

この仕事は業務独占ではありませんから間口が広いです。

それゆえ「誰でもできる仕事」と揶揄されることもあるのですが、一人前の職員として活躍できるようになるにはやはりそれなりの期間が必要です。

利用者の心身の特徴を理解した介助はもちろんのこと、職員一人であたる時間もあるため、様々な知識をベースにした観察力、相談力、判断力などは特に重要で、それを充分なレベルできるようになるには「適正×教育×時間」が必要なのですが、これが中々追いつきません。

余裕のない施設では、充分なスキルに達していない職員に一人で夜勤をさせたりしている事もあるのではないかと思います。


働き手が流入してこない、これは世間から『割に合わない仕事』と判断されているという事だと思います。介護需要の拡大に働き手の供給が追いつかない、これに端を発し、様々な悪循環が起こってしまっているのですね。



3 . 国、政策の問題

介護人材確保のための国の施策

このような介護業界の状況に対して、国もただ傍観しているわけではありません。主な方針は以下の通りとなっています。

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出典:https://www.mhlw.go.jp/content/12201000/000363270.pdf

処遇改善や業務効率化、人材確保対策など、必要充分な施策がなされているかと言えば大いに疑問ですが、その方向性は理解できます。


人員削減論

ですが昨今、不穏な動きも見られています。 

10日に開催された政府の経済財政諮問会議で、根本匠厚生労働相は新たなテクノロジの活用などで介護現場の生産性を高めていく意向を重ねて示した。

利用者が増える一方で現役世代が急減する今後を見据え、「より少ない人手でも回る現場を実現することが必要」と言明した。業務の切り分けや役割分担、ロボット・センサーの適切な整備、記録アプリの活用などで介護施設のイノベーションを加速させる構想を改めて説明。

中略

民間議員は「人手不足への対応、働き方改革の観点からも、大胆なICT、AIなどの活用に向けた規制改革を推進すべき」と主張。「センサーを活用するオランダの夜間介護の生産性は日本の3倍(*)」との知見を持ち出すなど、特に施設の夜勤配置に議論の余地があるとの認識を示している。

* 注釈で「株式会社メディヴァ・大石氏によれば、オランダでは夜間の見守り人員は40〜50人に1人であるが、日本では平均で15人に1人を配置」と解説した。

出典:厚労相「少ない人手でも回る現場を実現」 介護施設のイノベーションに注力

自民党の厚生労働部会が18日に「新時代の社会保障改革ビジョン」をまとめた。

中略

介護分野は現場のイノベーションの推進が目玉。タブレットやウェアラブル、センサー、ロボットなどをフル活用して効率化を図る構想を描くとともに、「サービスの質を確保することを条件に、人員配置基準や施設基準などの緩和を行うべき」と明記した。加えて、以下のような一文も盛り込んでいる。

出典:介護現場の人員基準、テクノロジ活用で緩和を 厚労部会が了承 骨太に反映へ


要は「社会保障費の抑制を目的に、テクノロジーを活用して、もっと人員削減しましょう。という議論が政府の中枢では行われているわけですね。

「利用者3:職員1」では労働基準法を守れないことは先に説明しました。しかし現場の実態を知らない政府はさらに人員を減らしてもなんとかなると思っているみたいです。

テクノロジーの活用やサービスの質の確保が前提とは言われていますが、正直、人員削減という結論ありきで進んでいきそうで危惧しています。

参考過去記事▼


テクノロジーの導入に際して自社サービスを売り込む商機を見出したい有識者、中身がどうであれ人員削減したい政府や無知な経営者…

その先に残されるのは、サービスの質が落ち虐待のリスクも跳ね上がった所で暮らすお年寄り、安心して親を預けられない家族、いま以上に疲弊して殺伐とした職員たち、本当に取り返しがつかないレベルになってしまいますよ。



さいごに

介護従事者による虐待件数は510件(平成29年)、過去最高となっています。

ですが、介護施設自体が年々増えていることや、虐待に関する世間的な認知や倫理観も広まり通報されやすくなっている可能性(昔はやっている人達が虐待と認識していなかったり、もみ消されるようなことも多かったかもしれない)もあることから、この数字だけでもって状況が悪化したのかどうかは、判断が難しい所でもあります。

また、番組では取り上げて頂けませんでしたが、家族による虐待件数は17,078件(平成29年)です。

家族による高齢者の介護はそれだけ過酷で、これまで築いてきた家族関係すら破壊してしまうことがあるのです。介護殺人や無理心中などもニュースになりますが、一つの社会問題なのです。

高齢者自身の老後の安心、家族の心身の健康や子育てや仕事、これらを守るためのシェルター的な役割を今までもこれからも施設が果たしていることには、どうか社会のご理解を頂きたいところです。

さて、高齢者への虐待を減らすためにはどうしたら良いのか…

オワリ