私は、20代中頃までよくイライラしていました。仕事において、他者にとても厳しい人間だったように思います。
「自分はこれだけやっている。あの人は何々がダメだ!」
「〇〇さんは、この状況が全然分かってない!」
自分は誰よりも一生懸命に仕事をしている、そうでない人はダメだ。そんな感じだったので、特に上司からは生意気で傲慢なヤツと映っていたかもしれません。実際問題、上司との関係もどこかギクシャクしていました。
自分のイライラは募る。周りとの関係は上手くいかず、仕事も思うように進められない。そんな悪循環の中にいました。
後輩が沢山できた今になって思うのは、こうしたストレスや他者に対する傲慢さって、若い時は非常に多いなと言う事です。このストレスとどう付き合えるかで、その先の社会の景色や自らの成長が大きく変わるような気がします。
今回は、私がこの悪循環を断ち切るキッカケになった出来事と、ストレスをコントロールする為に用いているフローチャートをご紹介します。
[目次]
1 . キッカケは先輩の一言
当時私は、上司Aさんに不満とストレスを抱いていました。
ある入居者のケアについて(その入居者の訴えについて)、上司も家族も耳を貸そうとせず、協力しようとせず、その入居者は孤立し大変辛い思いをされていたのです。
その方の話を親身に聞くのは私だけ。
なぜこのような状況を放っておくのか、耳も貸してくれないのか、私はとても悲しく、怒りに震えていました。
そんな折、たまたま別の事業所で働く先輩と食事に行く機会がありました。
私は先輩に、この不満を愚痴りました。そんなに深い意味はなく、ただ話を聞いて欲しかっただけでしたが、その先輩のリアクションは意外なものでした。
「そうか〜。で、yuくんは、その家族やAさんに入居者の状況を理解して貰うために、どれだけの事をしたの?」
私
「・・・(言われてみれば、何もしてない)」
先輩に言われてハッとしました。確かに私は文句を言うだけで、この状況を打開する為の行動を何もしていなかったのです。
そもそも、その入居者の苦しみは、普段近くで接している私だから気づけたのであって、上司も、たまに面会に来るだけの家族も、気づけなくても無理はありません。それを責めるのはお門違いですし、他者に対する思いやりのない浅はかな考えでした。
その気になれば、上司や家族に時間を作ってもらって話をする。1回言ってダメだったら2回でも3回でもアタックする等、まだやれる事は沢山ある。
私の行動次第で、状況はどうにでも変えられたのだなと気づかされました。
これをキッカケに、私の中にはこのような心構えが芽生えるようになりました。
- 人によって仕事の範囲や見える範囲が違うのだから、自分だけ知った気になって他者を責めるのは傲慢。
- 自分が本気でなんとかしたいのであれば、自分の行動次第で状況は変えられる。
- 自分が何もしないのであれば、周りの状況も変わるはずがない。よって、その変わらない状況について他者を責めるは間違っている。
2 . フローチャート
先輩との一件以来、私は人のせいにする事が少なくなりました。「大抵の事は自分次第なんだな〜」と、何だか腑に落ちてしまったのです。
ストレスには外的要因があります。しかし、そのほとんどは一方的に外側から降って来るものではなく、他者や環境に対して自分の思い通りにしたいと言う期待や願望、つまりは自分の気持ちに起因しています。
〇〇さんに対する不満、職場環境に対する不満など、いずれも思い通りにならない現状に対し、いつも誰かのせいにしてイライラしていたのが当時の私でした。
今ではストレスの元が発生した時には、何となく自分の頭の中で、このようなフローチャートを思い浮かべて問題を処理するようになりました。
それでは、図の①〜④まで、順に説明していきます。
① 自分で何とかできる問題か?
まず初めにこれを考えます。
先ほど挙げた入居者の例や、社内のちょっとした不満、改善したい事などは、自分でも頑張れば何とかできる事かもしれません。
一方、例えば行政的な決まり事、介護保険制度について、人口問題について等は、規模が大きすぎて私がどうこうした所で、今すぐ状況が変わるような問題ではありません。
このように、自分のテリトリー、権限、影響などが及ぶ範囲の問題なのかを、まず初めに考えます。
そして、これは無理だと思ったら、右にある「諦める。保留にする。気にしない。」と言う選択をし、意図的にその事は気にしない事にします。
② 優先順位は高いか?気力体力があるか?
①で「自分にも出来るかも」という選択をしたら、次に考えるのがこれです。
まず優先順位。仕事には、やりたい事、やらなければいけない事が日々山のようにあります。自分の限られた時間の中で、何からやるべきなのか、この問題は今すぐやらなければいけないのかを考えます。
次に気力、体力です。仕事の改善にしろ、人間関係や職場環境への働きかけにしろ、何でわざわざ自分がやらなければいけないのでしょう。これはしょうがないのです、問題だと気づいたのが自分だったんだから。
しかし、自らが前に出て、率先して何かを進めると言うのは大変に気力体力を消耗する作業です。無理せず、自分の気力体力が充実している時に取り組めば良いのです。
また言い方は悪いですが、発生した問題に自分も取り組んでいないけど、周りも取り組んでいない➡︎誰も自分を責められない➡︎だから好きな時にやればいいや。と言う考えです。ただし、ここで一番に行動に移せる人が、周りの評価や尊敬を集める人です。チャンスと思って、早めに踏み出したほうがお得です。
ここでも、これは無理だと思ったら、右にある「諦める。保留にする。気にしない。」と言う選択をし、意図的にその事は気にしない事にします。
③ やるか?やらないか?
最後は自分の意思、覚悟の話です。
ストレスを増幅させる要因や、人のせいにする要因に「やらされてる感」が挙げられます。「やる」と言う決断も「やらない」と言う決断も、最後は自分の意思で決めるのです。
「私はこの問題に取り組めるのか?1回やりだすと後戻りは出来ないぞ。きっと仕事も増えるだろうな。残業にもなるかな。〇〇さんと喧嘩にもなるかな。やるのか?やらないのか?」と、ひたすら最後の自問自答をします。
やると決めたら、とことんやってみる!
やらないと決めたら、とりあえず気にしない!
3 . 意識的な「自動化」と「整理」、その効果
このフローチャートを自然に使いこなせるようになると、ストレスに対して反射的に、悶々と悩み続けるという事がなくなります。
今向き合べき問題かどうかを、システマティックに振り分け整理するので頭がスッキリするのです。
そして「諦める、保留にする、気にしない」と言う選択肢があることがポイントです。あれもこれも思い通りにしようとするとストレスは余計に大きくなるばかり。戦うべき所と諦める所を、上手に振り分ける事が大切です。上手に割り切る技術です。
※また、保留にすると言うのもポイントで、いつかチャートの①〜③の条件を満たす時が来るかもしれません、その時にまたチャレンジすると言う選択肢を取っておくのです。
この振り分けをするプロセスにおいて自己決定がありますから、自らへの納得感もあり、周りのせいにする事も自然と減ります。
この思考を身につけて以来、私の日々のストレスは激減しました。もう生まれ変わったんじゃないかってくらいに。
① 悩むことがほとんどなくなる
まず、悶々と悩み続けると言うことがなくなります。
頭の中は「問題解決のために考える、行動する」か「気にしない」の二択になりました。常にとてもスッキリした状態です。
② 人間関係が良好になる
次に、私の生活で大きな変化が起こったのが人間関係です。
人のせいにしなくなりますから、自然と今までより柔らかい雰囲気で人に接しられるようになったのだと思います。人のせいにする態度は無責任な態度として、ちょっとした日常会話の中でも出てしまいますから、やはり周りからしたら面白くないですし、信頼におけなかったのでしょう。
これまでギクシャクしていた人達とも有効な関係を築き、様々な場面で協力を得られる機会も非常に多くなりました。
長くなりましたが今回のお話はここまで。参考になるかどうか分かりませんが、これを見た人が、少しでも社会で気持ちよく活躍出来るように、お役に立てれば幸いです。
最後にもう一回載せておきます ▼