上のスライドは、前回の記事で「ほめる事も叱る事も、どちらも『望ましい状態への導き』であり、やっている事の本質は一緒。」という事を伝えるために作成したものです。前回記事▼
褒める事と叱る事、どちらが大事かと聞かれたら、こう答える。 - Sow The Seeds
伝えたい事の本質(構造)を正しくつかみ、それを分かりやすく図にして説明するスキルは、仕事において超重要です。
たった1枚の大した事ないように見えるスライドですが、完成するまでにはそれなりの試行錯誤がありました。今回は、この1枚のスライドを完成させるまでのプロセスを共有します。
[目次]
1 . 最初にラフ画
まず初めに、イメージしている図を大まかに書き出します。
ここでは、よくある○×クイズの「正解と思う方に移動して下さい」のようなイメージを描きました。
左が良くないエリア、右が正解エリア。上司が部下を褒めたり叱ったりする事で、少しでも正解エリアに導こうとしている様子です。
2 . 実際に作成してみる
まず、ネタとなる棒人間のイラスト素材を仕入れます。
色々なポーズがあるので、最適と思われるものを選びます。
作成するソフトは、パワーポイントを使用しています。
簡単な図表は十分描けますし、今後何かの場面でプレゼンや勉強会をする際に、そのまま使えて便利です。
当初のイメージ通りに四角いエリアを2つ作り、それぞれに棒人間と文字を配置。背景と文字は、信号を参考に「危険信号は赤」「正解は青(緑)」という感じで着色しました。
この2枚のスライドに、それぞれ解説文をつけて記事が完成!と思いましたが、ここで疑問がわいてきました。
- 問1:
部下が左右を行き来している様子が分かりにくいのでは?
- 問2:
上司が、本質的には同じ事をしている様子が伝わりにくいのでは?
このように自問自答することで、ここから更に良い(伝わりやすい)図表を目指します。身近な人に見てもらって、率直な感想を聞くのもオススメです。
3 . 試行錯誤、修正作業
図表は、ぱっと見で「なるほど‼︎」と思わせられるものが理想です。上で挙げた疑問点を解決し、より伝わりやすいものにすべく修正してみます。
問1:左右を行き来している様子を分かりやすくする
背景を平面的な四角い枠で囲っているため、人が行き来できる感じがしないのかな?という仮説を立てました。
そこで「図形」→「基本図形」→「台形」を使い、地面らしきものを作りました。
うん、最初のものより良い感じではないでしょうか。
問2:上司が同じ事をしている様子を分かりやすくする
図を2つに分けたのが良くないのかな?いっそのこと図は1つにまとめても良いのではないか?と考え、2つの図を1つにまとめてみます。
スライド上の題名も変更。地面に薄く点線を追加。
これで、無事完成です。
4 . デザインする際のポイント
私はデザインに関しては素人です。しかし絵が趣味だった事もあり、それなりに意識していることを記します。
① 文字の情報量は最小限に
よく研修会などに行くと目にする図と文字でびっしり埋め尽くされたスライド、あれは最悪です。見ようという気が萎えます。
情報を漏れなく、解説なども付けて表現しようとするとそのようになりがちです。ですから、私は以下の2つを意識しています。
- 全体の構造(フレーム)が伝われば良し
- 伝えたい部分を強調するために、その他の文字情報は少ないくらいで良し
② 色使いについて
次に、使用する色についてです。
- 3〜4色以内で抑える、揃える
ゴチャゴチャした印象を避けるため、伝えたい内容をよりストレートに伝えるためです。ベース色+アクセント2色くらい。 - 原色を多様しない
赤、青、黄などの原色をそのまま多様すると、洗練された印象になりません。彩度や色相を工夫します。 - 内容とベースカラーを合わせる
伝えたい印象に合わせた色を選びます。
例)オレンジ→明るさ、希望。青系→誠実、真面目。緑系→エコ、穏やかさ。
参考▼ - それぞれの色の意味を考える
例)男性→青、女性→赤。
参考 ▼
③ 線、影、グラデーション等について
・線は細め(ちゃんと伝わる程度で)
・影やグラデーションの効果は最小限に
・適度に余白を設ける
これは、近年のフラットデザインやマテリアルデザイン等の影響です。
細かい理論についてはより詳しい人に任せますが、例えばiPhoneのiOSデザインの変革を見てもわかるように、近年のデザイントレンドは『リアル、リッチ、ボリューミー』というキーワードから『シンプル、ミニマル、ライト』に変化しています。
コンテンツを引き立たせ、伝えたいことを効果的に伝えるために、また洗練された雰囲気を出ために、スッキリとシンプルな図表を心がけます。
参考 ▼
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④ とにかく色々試す、比較する
- 色の濃淡、コントラスト
- 各イラストや文字の大きさ、太さ、色など
パソコンは修正が容易なので、データをコピーして、いくつものパターンを作って比較しながら考えます。とにかく色々調整してみて、最も納得のいく形に仕上げていきます。この作業をする事で、デザイン的にも論理的にも、より完成度の高いスライドに仕上がります。
今回はここまで。最後まで読んで頂き、ありがとうございました!