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介護の現場から リーダーのためのブログ

バイタリティに溢れたリーダーが組織をダメにする理由

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こんにちは、yuです。皆さんは理想のリーダー像といったものを考えた時に、どのような人を思い浮かべますか?

例えば、田中角栄、スティーブ・ジョブズ、孫正義など、歴史に名を残す著明なリーダーたち…

いずれもバイタリティ溢れる、間違いなく優れたリーダーたちです。

バイタリティー 【vitality】
活力生活力生命力。 「 -に富んだ人間

一方私はというと、まぁダメ人間です。

体力がなく長時間労働はしたくない。腰痛持ち(ヘルニアで手術歴あり)で無理すると痛みがぶり返す。大体いつも眠い。つい楽な方へ流されそうになる。子供の頃、宿題はギリギリまでやらなかった。記憶力が悪い等々。

そんな弱点だらけな私ですが、リーダー的立場を任せられるようになってからは意外とその弱点こそがメリットになると思える事も多かったです。

というのも世の中を観察していますと、むしろバイタリティがある方がかえって弊害になっている場合もしばしばあるように見受けられるのです。 

今回は、怠け者リーダー(私)のマネジメント論をお話しします。

 

[目次]

 

体力がないから…

私は体力がありません。

体力がないからこそ、限られた時間内で仕事を終わらせる、自らに課せられた責任を果たすことに工夫を凝らします。


また、これは部下に対しても同じことです。

長時間労働を強いるようなことはしませんし、時間外手当はちゃんと出すようにします。

参考過去記事▼
・介護士の残業代、皆どうしてます?



なまじ体力があると工夫を怠り、自分にも人にも長時間労働を強いてしまいがちになります。量的な方法で何とかしようとしてしまいます。

仕事する上で理想的なのは「できるだけ少ない仕事で、より多くの儲けを得る」ことです。

私は介護業界で働いていますが、儲けに関係のない会議や書類など、非効率なことがまだまだ溢れています。

これらを根性で何でもやり切るのではなく、やる事はやる、やらない事はやらない。あるいはやり方や仕組みを変えてみる。

このような工夫を凝らすようになったのは、私自身に体力がなかったからです。

もし私にバイタリティがあったなら、生産性の向上にも無頓着なブラック企業まっしぐらだったかもしれません。



腰痛があったから…

介護の仕事はけっこうな肉体労働です。

私の所属する従来型特養では以前、腰痛による欠勤者が多発した時期がありました。

考えられる原因としては

  1. 単純な人員不足による疲労とストレス
  2. ユニット型を参考にしているのか、排泄援助時にカートを使わない
  3. 寝たきりの方の抱き上げ移乗を一人で行っている

などが考えられました。


1.の人手不足については、上長とすり合わせを行いながら、時間をかけて改善をしました。

参考過去記事▼
・「何人いれば足りるの?」介護現場を数字でマネジメントしてみよう。という話
・介護現場を数字でマネジメントしてみよう【入浴介助の適正人数の計算】



2.については、排せつ援助用カートを導入し、重いものを上げ下げする作業を減らしました。介護業界では珍しいものではありませんが、あるとないのとでは随分腰への負担が違います。f:id:sts-of:20180430033533j:plain

前屈、中腰、ひねり、後屈ねん転等の不自然な姿勢を取らないようにすること。
(中略)
不自然な姿勢を取らざるを得ない場合には、前屈やひねり等の程度をできるだけ小さくし、その頻度と時間を減らすようにすること。

参考:厚労省「職場における腰痛予防等指針」より

 



3.の寝たきり度の高い方に対して行う抱き上げ移乗とは、以下のようなイメージです。f:id:sts-of:20180430010318j:plainこの方法は、利用者をぶつけしまったり、最悪落としてしまったりと非常にリスクの高いやり方です。また、30〜40kgの人を一人で抱えるわけですから、職員の腰への負担も大きいです。

この移乗方法が必要な利用者はそう多くありません。うちの施設では必ず二人で行うよう厳しく指導をしました。

初めは皆「一人でやった方が早いから」と納得してもらえませんでしたが、根拠を説明しながら、少しずつ定着をしてきた経緯があります。

成人男性は重量物が体重の40%以上、女性は24%以上を扱わない。
※ここで言う重量物とは「人」は含みませんが、参考にはなるかと思います。
参考:厚労省「職場における腰痛予防等指針」より

私は仕組みを作る上で、一つ基準として「自分ができないような事は部下にもやらせない」という事を考えています。体が丈夫でなかったからこそ「誰がやっても出来るやり方」でルールを作っていくようにいつも考えています。



記憶力が悪いから…

記憶力の悪さを補うために、とにかくメモを取るようになりました。

参考過去記事▼
・メモを取らない管理職は信用されない【5つの留意点】

 

この習慣のおかげで、結果的に

  1. タスクや課題を忘れなくなった
  2. 後から振り返りが出来る
  3. 覚えることより、考えることや行うことに集中できる

ようになりました。

記憶だけに頼った人よりも、よっぽど確実に人の話も聞いていますし忘れません。

計画的に物事を進めることもできるようになりました。

また、「覚えることより、考えることや行うことに集中できる」というのは、言い換えると「アウトプットに集中できる」という事です。

ごった煮状態の情報をメモに残す事で意図的に忘れることが出来る。だから今、目の前のことに集中することが出来るのです。
※メモに書かなかった事は「なかった事」になる、と言う弊害もありますが…

おそらくメモを取る習慣がなかったら、私の実行力は今よりずっと低かったと思います。



情報処理能力が遅いから…

例えば、会議などで議論や検討をしている時、今なにが決まったのか・決まっていないのか、何を話し合うべきなのか、ゴールはどこなのか、よく分からなくなる時ってありませんか?

話の全体像がつかめず、皆んなとの会話についていけなくなったり。とにかく気持ち悪い。

なので、事前のレジメの作成、ホワイトボードの活用、表の活用など、誰もが目で見てすぐわかるやり方、話の全体像がつかみ易いやり方をやるようになりました。f:id:sts-of:20180430022918j:plain

こうしてやってみて分かったのですが、案外みんなも分かっていないまま、「なんとなく」で議論が進んでいる事があるんですね。

なるべく目に見える形に書き出す事で、みんなの「分からないことが分からない」を予防することが出来ます。



面倒くさがりだから…

これまでウチの施設では、書類の用紙のサイズが様々ありました。A4、B4、B5など。書式も用紙を縦に使うものや横に使うものなど。

そのため紙の補充やファイルの用意など、ちょっとした事ですけどメンドくさい。在庫管理や保管するのも煩雑。ファイルを棚に収納するのも収まりが悪い。

なので、基本使用する紙は全てA4タテに統一しました。f:id:sts-of:20180430013453j:plain
こうすることで、現場で管理する紙はA4のみで済むようにしました。


それからもう一つ、ウチの施設では会議の際レジメはワードで作成、会議録はエクセルの書式に打ち直すと言う、謎の文化がありました。

これもメンドくさかったので、ワードで作ったレジメに、会議で話した内容を書き足していく、それがそのまま会議録として使用できるように変更しました。


些細なことかもしれませんが、先人の誰かが仕組みを作り、それを何となく踏襲してきた事で非効率なこともけっこうあるんですよね。

先日、中途採用(他施設経験者)の職員と介護記録の話になりまして、それについても色々と参考になる話が聞けました。まだまだこれから改善していけることがありそうです。



すぐサボる方だから…

私は怠け者です。だからサボる人の気持ちもわかります。

根が働き者の人は、サボる人=悪でしかなく、理解が出来ません。


上司と部下の争いで多いと感じるのが

上司
「サボるなんてけしからん。手を抜かず一生懸命働け」

部下
「一生懸命働いても終わらないような仕事量だからサボらざるを得ないんだよ」
「でもそれを言い訳に本当にサボってる部分もあるけど(内心)」


という永遠に交わらない感じ。

私の場合ある意味厳しいので、まずは出来るだけ現場に優しい仕組み、誰にでも出来る仕組みを考えます。

そのような環境が整えば整う程、現場は忙しいを言い訳に出来なくなってきます。

優しい環境→サボらざるを得ない状況がない→サボる言い訳が出来ない。という理屈です。

ちょっといじわるかもしれませんが、上述した上司と部下の不毛なすれ違いを続けるよりも、より正直にフェアな環境と言えるのではないでしょうか。


私自身がサボりたがりなので良くわかるのですが、結局根性論をいくら押し付けたところであまり効果がないのです。

だから、サボらない(サボる必要のない)環境を整えたり、上述した改善であったり、要は人を変えようと人に働きかけるのではなく、人が自然と変われるように環境に働きかけるのです。

私がこのブログを通じて伝えたい組織マネジメントの重要性とは、こういう所だったりします。



さいごに

今回ご紹介した事例は、いずれも共通して「超人でなくても、誰がやってもそれなりに出来る仕事を作る」ことを目的としています。

なぜそれをするのかと言うと、それは介護業界の未来に関わることだからです。

現在もこれからも、介護業界の人材不足はますます深刻になっていきます。つまり、介護の仕事が「体力と根性のある超人にしか出来ない仕事」であったならば、この業界は必ず行き詰まり崩壊します。

利用料も給料も官製相場ゆえ、死ぬほど働いてめちゃくちゃ稼ごうというギラギラした業界ではありません。

せめて、人に優しく魅力ある仕事、やってみようと思える仕事でなくてはいけないと思います。

まずは自分のいる施設から、少しでもそのような環境にしていけたらと考えているところです。