Sow The Seeds

介護の現場から リーダーのためのブログ

「残業する権利」という考え方もある

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これまでにも、残業に関する記事をいくつか書かせていただきました。

過去記事▼www.sow-the-seeds.com

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残業は少ない方が経営的にも働く人の健康的にも良いことは今更言うまでもありません。

ですが私は「残業=悪」とも思っていません。

仕事って、必ずしも毎日同じ量、同じ作業ではありませんから、基本8時間勤務であったって、6時間分の仕事量で終わっちゃう日もあれば10時間仕事しなければ終わらない日もあります。

残業をするにせよ、しないにせよ、働く人自身がもっと主体性を持って働けば気持ちいいよと言うのが今回のお話です。


[目次]

 

 

1 . 主体性のない事例

ここのところ、秋祭りの準備に追われています。

各部署から数名ずつ人を出し合い実行委員会を組織し、委員中心に準備を進めています。私は現在その委員会の監督役をしています。


ある日、他部署の委員に進捗状況を確認したところ…

「〇〇の件について進捗はどうですか?」
委員「いやー、今(自分の部署が)人手不足で、中々作業する時間がなくて。このままだと出来るかわかりません・・・」


私が聞きたいのは出来ない言い訳ではなくて進捗状況と今後の計画です。なぜ出来なかったかはどうでもよくて、出来てないならこれからどうするつもりなのかです。

この委員に突っ込みたかったことは以下の4つです。

  1. そもそも時間がないのはどこの部署も一緒
  2. すでに、その部署がやらない分を他部署の委員が担っている
  3. その委員は、残業することも含めスケジューリングを立てていない
  4. 私含め、多くの委員は残業もすることも含め計画的に作業を進めている


請け負った仕事が時間内で終わらない時に、それでも自らの責任を果たすために、残業をすると言うのは一つの手段です。

与えられた仕事を与えられた時間でなんとかしなきゃいけない、自分にはコントロールできるものが何もない…なんて勘違いです。上司や会社に、職員の毎日毎時間の仕事全てをコントロール出来るほどの力はありません。



2 . 残業するのも自由、しないのも自由。要は気の持ちよう

例にあげた秋祭りの件ですが、本人に「残業してでもやらせてくれ」と言われれば上司は拒否しませんし、残業したくないならしなくて済む方法を考えるというのもありです(もっとも、残業しないためには相当仕事を振る能力と、事前に計画的に進める能力が必要ですが)。

すでに過労死ラインのサービス残業が蔓延しているような職場なら話は別ですが、ウチの施設の場合は残業時間は全国標準以下です。残業代も出ます。

過去記事▼

正確な数字は出していませんが、ざっと計算しても一人当たり月平均1時間を下回ります。

厚労省やその他研究機関の発表によると、一人当たりの月平均は11時間〜35時間となっています。振れ幅あり過ぎですが、いずれにせよ当事業所は残業の少ない、ライフワークバランスのためには良い職場と言えそうです。「介護施設はブラックとは限らない」好例でしょう。
毎月勤労統計調査 平成27年分結果速報|厚生労働省
https://www.vorkers.com/hatarakigai/vol_32

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そのような環境においては、自分の仕事を残業という手段も含めてコントロールするという主体性は、もっと誰もが持っておいた方が良いと思います。



3 . 主体性を持てるとストレスが減る

裁量がない時に人のストレスは増大します。*1

しかし今回の残業の例のように、本人が自覚していないだけで実はある程度裁量が与えられている場合もあるのです。

雇われの身だからと考えることを辞めてしまっては勿体ない。自ら裁量を発揮するという攻めの姿勢をもっと持って良いのです。

自らの主体性でもって仕事ができるようになると、ストレスも随分減りますよ。

参考過去記事▼ 

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4 . さいごに、注意点

「自らの責任を果たすために、残業さえ手段の一つとして主体的にコントロールしてみてはどうか」というのが今回の趣旨ですが、誤解をして欲しくないので最後に注意点を2つ書いておきます。


①  社員が独断で残業する権利は法的にはない

労働基準法上、労働時間とは「社員が会社の指揮命令下に置かれる時間」のことを言います。

ですので、会社の指揮命令下にないもの、社員の独断による残業は本来は認められません。題名にした「残業する権利」、これを過大に解釈しないようにして下さい。

ウチの施設の場合、事前に上司に残業する旨を伝え許可(命令)を受けた上で残業をします。

とはいえ、上司がその場にいない場合もありますので、残業にならざるを得ない客観的な理由がある場合には、事後報告も認めています。そこは現場と上司の信頼関係です。


② 上司や会社に恵まれる必要がある

どんな客観的事情があっても残業を認めない上司、サービス残業を強要する上司、サービス残業を見て見ぬ振りする上司、残業届を出すと露骨に嫌な顔をする上司、このような人たちが世の中に大勢いるのも事実です。

私の場合、それでも自分の裁量だと空気を読まずに押し切ったり、戦ったりすることもあるのですが、それが出来ない人、出来ない環境だってあると思います。

見切りをつけるのも一つの選択です。ダメな上司、ダメな会社からは人が離れ、淘汰されていく時代ですね。



仕事の責任を果たしつつも、気持ちよく、そして逞しく働ける人が増えたらいいなと願っています。今回はこの辺で失礼します。