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介護の現場から リーダーのためのブログ

職場で徒党を組んだりイジメをしたりする人達は「仕事=〇〇〇〇〇」を分かっていない

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集団で仕事をしていると、やたらと徒党を組みたがる人達がいます。

それは派閥になったり、自分たちに都合の悪い人を排除しようとする手段を選ばぬイジメになったり、仕事そのものよりも上司の顔色を優先させた判断をしたり…そのような言動には「あのー、仕事しにきてるんだよね?」と首を傾げたくなります。

なぜこのような事が起こってしまうのか。なぜこのような人達が生まれてしまうのか。

先日読んでいたある本で、なるほど!と腑に落ちるところがありましたので、紹介させて頂きます。


[目次]

 

1 . 私が最初に感じた共通点

本題に入る前に、まず私自身が感じている「職場でイジメをしたり徒党を組んだりする人の共通点」について4つ挙げさせて頂きます。

① 仕事で認められていない

私の経験上、こうした人達にまず共通していたのが「仕事において認められていない」という点です。

認められるというのは上司からであったり、周りの職員からであったり。

どこか承認欲求の満たされない人達。こういう人達は徒党を組み仲間を作ることで安心したいのだろうな、と思います。


② 仕事において自らの存在価値を見出せていない

仕事における存在価値は、仕事で力を発揮し、仕事で認めさせるしかありません。

しかし仕事において自らのアイデンティティを発揮するって、案外難しいものです。

業種にもよりますが、ある程度ルーティンワークとして出来上がっていて「誰がやってもそれなりに回る」仕事である場合、仕事そのものではあまり他者と差異が生まれません。

このような環境ですと「仕事の価値」より、気が合う合わないと言った「人間関係」が優先され冒頭に書いたような問題が生じる事があります。


③ 仕事内容や社会的正義よりも、内輪の(歪んだ)正義が優先される

仕事における価値(業績、仕事の質や価値観、規範など)が曖昧になったところでは、あるいはそれを見出せない人達は、一般的な正論は通じなくなります。

「徒党を組んだ自分達の存在を脅かす存在=悪」という思考になります。そこに常識とか、社会的な正しさとか、良い仕事をしたいとか、そのような全うな考えは無くなります。

その人たち個々では、あるいは環境がちょっと違ってれば、決して常識の通じない人とか悪人とかそういう人種なわけではありません。

特定の集団に強く依存したり閉じこもったりすると、合理的でない言動でも先鋭化していくリスクがあるという事です。*1


④ 仕事とプライペートの境が曖昧

もう一つ、このような人達の特徴として「仕事とプライベートの境が曖昧である」という事が挙げられます。

承認欲求が満たされていないため、仲間内に帰属欲求の充足を求めます。*2

「仕事」によって繋がっているわけではなく(仕事におけるアイデンティティを見出せていないため)、より全人的に繋がっていますから、職場以外仕事以外での繫がりや情報交換も頻繁です。

こうする事で互いを監視している節すらあります。

繰り返しになりますが「仕事の中身」より「自分達の仲間が安全である事。楽しい事」の方が大切です。自分達が仕事を軸にして集まった集団であることを忘れてしまうのです。


2 . 徒党を組まないタイプ

では、そうならないタイプの人間はどのような人でしょうか。私が見た限りでは2種類です。

① デキる人

仕事そのものに対して興味があり、仕事に対してプライドがあり、それなりに実績もあり、周りも一目置いている…そのようなタイプの人はあまり徒党を組まない印象です。

仲の良い人がいたとしても、あくまでそれは「よりよい仕事をするために」という事が会話や人間関係の軸になっています。仕事で尊敬できない人とは仲良くしようともしません。

② 割り切っている人

特別なアイデンティティは主張できなくても、「仕事しに来てるんだから、割り切って仕事だけしよう。それ以外のことはなるべく関わりたくない」という人達です。

このタイプの人は、仕事に対してあまりこだわりや自己主張をすることはありません。職場内での人間関係も希薄で、あまり興味がありません。

私はこのような人はプロとして十分成立していると思います。

世間では「リーダーシップのある人」や「クリエイティビティのある人」が重宝される傾向がありますが、大多数の人はそのようなものは持ち合わせていませんし、強要できるようなものでもありません。コツコツとやるべき仕事を実直にこなす、十分尊敬に値する才能です。


※孤独を味方につけられるか

人は皆、究極的には孤独です。

「孤独」…唐突に思われるかもしれませんが大事なキーワードです。

皆寂しいし不安なのです。この孤独を意識的にであれ無意識にであれ、受け入れる事が出来るかどうかが、徒党に依存する人とそうでない人の差のような気がします。


3 . 仕事とは何か

長くなってしまいましたが、ようやく核心です。

私が読んだ本に書かれていた事、それは…

「仕事とは『事に仕える』ことである」

という言葉です。

組織というのは最初はある目的を達成するために作られる、しかし一度作られてしまうと組織自体の維持発展(予算を多く獲得する、定員を増やすなど。)を優先するあまり本末転倒を起こす。

仕事とは、事に仕えるのであって人に仕えるのではない。

やりたい仕事、やるべき仕事を納得のいくようにやる、そのためにどうしたら良いのか必死になっている。
※厳密な引用ではなく、筆者にて意訳しています。


そのような事が書かれていました。

目的を達成するために「事に仕える」人達。しかし本来の目的や自分達の存在価値を忘れ「人に仕える」になってしまうと、このような事が起こるんだなーと納得してしまいました。これは私のモヤモヤを上手に言い表してくれた一言でした。



4 . さいごに

今回紹介したのは、こちらの本からです▼

流しの公務員の冒険 ―霞が関から現場への旅―

流しの公務員の冒険 ―霞が関から現場への旅―

 

キャリア官僚出身の著者が、初めは『若手の出向』であった地方自治の現場に仕事冥利を感じ、次第に自ら願い出て地方の現場を渡り歩くようになり、様々な課題に直面する物語です。

この本では、赴任した愛知県常滑市での市民病院再生の話をピックアップしています。

市の財政難、赤字の最大の原因となっていた病院は、新病院設立か廃院かの岐路に立たされていました。市の職員の給与をカットしたり、100人会議を開いて住民と病院側との話し合いの場をつくったり、様々な工夫を凝らし奮闘する様が書かれています。ちなみに病院再建中に総務省を辞職し、常滑市の副市長に転身しています。



仕事とは「事に仕える」こと。

言われてみれば当たり前のような事ですが、言われてみないと気づけない事かもしれません。肝に命じておきたいものです。