Sow The Seeds

介護の現場から リーダーのためのブログ

有給取得率と残業時間、私が所属する特養の状況についてご報告 【前編】

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先日、8月の職員の希望有給について確認したところ、今までにないレベルで希望者が多かったので、「これで来月現場回るんかい⁉︎」と面食らってしまった私。

  1. 現場をゆとりを持って回せるように、職員はもっと有給の取り方を工夫するべきだ。嘆かわしい!

  2. より良い職場づくりの一環として、さらに有給取得率を上げていく事を推奨するべきだ。喜ばしい!


…私としては、どちらの態度が正しいんでしょうか?ちょっと悶々としてしまいました。

「働き方改革」「ライフワークバランス」…仕事だけではない人生、より豊かな人生を求めて価値観が多様化してきている昨今、より良い職場づくりのために、自分はどういう環境を作っていくべきなのか、改めて考えてみました。

[目次]

 

1 . そもそも今まで、どうだったのだろう?

8月の希望有給の数に驚いた私。

そう言えば、今までの有給取得状況ってどうだったのだろうかと思い、調べてみることにしました。

介護士さんたちの今年度4〜7月まで、一ヶ月当たりの平均取得総日数は15日でした。

8月はというと、19日。


体感では「8月、今までの2倍くらい有給とってるのでは⁉︎」と思っていましたが、案外今までも取っていて、正確には今までの1.27倍でした。ちょっと安心。




2 . 年間の見通しを考えてみる

厚生労働省が出している、全産業の職員一人当たりの年間有給取得、平均日数は8.8日(医療福祉分野は8.4日)となっています。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/16/dl/gaikyou.pdf



では当事業所はどうなのか?

このペースで有給を1年間取り続けるとどうなるか、計算すると・・・。職員一人当たり、年間11.3日の有給消化が出来る見通しです。


「有給が取れない」「残業が多い」「身体を壊す」「給料が安い」「ブラック」等々、何かと労働環境の劣悪さが注目されることの多いこの業界(もちろん、会社によって酷い所は酷い)。その中にあって、これだけの有給が取れている現状は大変喜ばしいことですし、ぜひ維持していきたいものです。



3 . 留意点

① 有給、希望休を取る時のルール

多くの事業所では、シフトを組む都合上「希望休は一日当たり重なって良いのは2人まで、それ以上重なる時は要相談」など、同じ日に希望休が重なり過ぎて、シフトが組めなくならないよう、皆んなに協力をお願いしている場合がほとんどです。

私の場合、今の部署に配属されて2年目ですが、そのルールをあまり明確にしていませんでした。

今回、よく見てみると実は1番問題だったのは「有給の取得数」ではなく、「希望休が同じ日に重なり過ぎていた」という事でした。

今一度、希望休や有給取得に関するルール(協力のお願い)を明確にする必要がありそうです。


② 職員ごとの差

職員一人当たり年間11.3日の有給が取れると言いましたが、職員によってかなり差があります。

取りたい人は毎月2日ずつでも有給消化する。取らない人は全く消化せず、消化しきれなかった分は無駄になってしまう。

定期的に職員一人一人の有給消化状況を確認し、取得の少ない職員から優先的に有給が取れるよう、配慮していく必要があります。



4 . さいごに

今回改めて有給取得状況について確認した事で、私が所属している特養はずいぶん労働環境に恵まれた一面がある事が発見できました。

こうした環境を整えていく、そのための施策を講じていくのもマネジメント層の役割です。


介護業界は、ベッド数に上限がある以上、売り上げは必ずどこかで頭打ちになります。また、サービス価格も介護保険事業なので、自由に決められるものではありません。つまり、頑張った分だけ儲けて、それを職員に還元するというインセンティブを与えるのは難しい業種です。

人材不足ゆえ職員の奪い合いが起きている昨今、労働環境の整備は人材確保の観点からも重要な課題なのです。


良いサービスをするためには色々な方法論がありますが、最もご利用者に大きな影響を与えるのが「職員のゆとり」です。これまでの経験上、確信しています。

いくら影で良い事をしていても、その分忙しくなってフロアで職員がバタバタしてたら、それはご利用者のメリットにはなりません。

職員がゆとりを持って介護に当たれるよう、労働環境を整える。職員の定着率が上がって人が充足する。ご利用者に良いサービスを提供できる・・・、そんな良いループが生まれるよう尽力するのが、自分の役割だと考えています。


今回はここまで。次回【後編】では、残業時間について見ていきます。