前回の記事では、自立度高めのご利用者Aさんがキッカケで、より幅広いニーズに応えられる施設になるためにはどうしたら良いか考えている。そもそも利用者にとっての家である老人ホームは、生活を営む上での「めんどくさい事」をことごとく利用者から奪い、もてなしてきた、この「めんどくさい生活」に利用者を巻き込むことで、Aさんに合ったライフスタイルの創出ができるのかもしれない、ということをお話しさせて頂きました。
今回はその続き、うちの施設で実際にできそうな具体案を書いていきます。
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今回はその続き、うちの施設で実際にできそうな具体案を書いていきます。
続きを読む「仕事つき」「役割を持って」「共生」そんなワードがあらためて熱いように感じる。
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・「お散歩は『徘徊』じゃない」 駄菓子屋も開店!? “管理”しない、高齢者の新たなシェアハウス | スーモジャーナル - 住まい・暮らしのニュース・コラムサイト
・高齢者のお世話は介護じゃない。誤解だらけの「介護職」の本当の役割とは?(PRESENT_04加藤忠相レポート) | KAIGO LEADERS
様々な施設の形態、利用者の違い、職員配置の違いなどがあるので一概に語ることはできないのですが…
例えば私が働いている従来型特養やユニット型特養でも、特にユニット型に関して言えば生活の中に利用者にも役割を持ってもらって、家事仕事などにも参加してもらって、活き活きと自立(自律)的な生活していただく、そのような考え方や取り組みはこれまでにも行われていました。
しかし実際には、それらのことを出来る利用者がほとんどいなかったり、行おうにも結局マンパワーを投入する必要がありそこまで職員の手が回らなかったり、利用者の参加とは名ばかりの体裁だけ取り繕ったものになってしまっていたり、それらをする為により基本的な介護が疎かになってしまったり、利用者自身がお世話してもらって当然という姿勢だったり…
まぁほぼほぼ理想論として上手くはいかない場合、おエライさんの自己満足という場合も多かったわけです。
しかし今あらためて、諸事情ありまして『特養(自施設)の在り方』について模索しているところです。今回は、今年度取り組もうかなあと考えている今後の構想について、備忘録として綴っておきたいと思います。
Aさまの事例…
これまで自分で歩かれたり食事を食べられたり、特養の中では比較的自立度も高く、職員ともコミュニケーションを取りながらマイペースに過ごされていたAさま。
ある日脳梗塞で倒れ、救急搬送、入院加療。
後遺症のため身体は片麻痺、麻痺側でない方も脱力が強くほとんど自らで動ける力は残っていない、辛うじて瞳のみが自らの意思なのか反射なのかわずかに動かせる程度、意思表示はできない状態、胃ろうを増設して施設に戻られました。
胃ろう造設の判断について、Aさまは身寄りがおらず、何かあった場合には全て成年後見人に連絡を取るようになっていました。
しかし成年後見人は医療方針に関する判断や同意はできません。そのため救急搬送時、施設が病院に伝えた意向は「(本人の意思確認が出来ないので)全ての延命治療をお願いします」。
※あくまで私が経験した一事例です。病院や施設によっては違った対応もあるのかもしれません。
このような経緯があって寝たきりとなってしまったAさま。
…ここで一つ疑問が生まれます。
Aさまの予後はきっとあと数年はあるでしょう、しかしこの生活は果たしてAさまが望んだものであったのか。延命治療に関する意思決定のプロセスは本当に適切であったのか。
「人生会議(ACP)」の重要性が取りざたされる昨今ですが、まだまだ本人の意思は不在のままの延命治療が行われることがあります。Aさまのケースように、本人の意思が分からなかったがゆえに…という事も。
私自身の普段の仕事は、どのような方であっても人生の最期までを少しでも穏やかに、安楽に、快適に、自分らしく過ごして頂けるようお手伝いをする事です。
しかしこのケースのように、そもそもの選択自体、利用者が被害者となっているかもしれない事例を見るとなんとも居たたまれない気持ちになるのです。
延命治療にまつわる意識、判断、そのあり方について今一度、思考を巡らせてみたいと思います。
こんにちはyuです。
3月26日、厚生労働省から2017年度の高齢者への虐待件数が発表されました。
養介護施設従事者による虐待が510件、家族等養護者による虐待が17078件、報道によっては昨今の介護職員による虐待の不安を煽るような見出しをつけて報じているところもありました。
参考▼
厚労省の発表はこちら▼
平成29年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果
件数だけ見ると、まず驚かされるのが家庭内における虐待の多さ、また虐待に至らないまでも適切な介護を受けられず苦痛を強いられている方なども含めれば、そのインパクトは一つの社会問題、本人にとっても家族にとっても老後の大きなリスクと言えます。
今回は厚労省の資料を参照しながら、もう少しその内容を深く考えていきたいと思います。
こんにちは、yuです。
皆さんはWAM NET(ワムネット)というサイトをご覧になりますでしょうか。
独立行政法人福祉医療機構が運営する福祉・医療・保健の総合サイトで、関係するニュースや行政の動向、様々な調査結果などが掲載されているので、私たちが情報を収集するのに役立つサイトです。※回し者じゃないですよ
先日3月1日のことですが、こちらに『平成29年度 特別養護老人ホームの経営状況について』調査結果が掲載されていましたので、今回はその内容について、いくつか要点をピックアップして解説していきたいと思います。
経営層だけでなく、介護現場で働くリーダー・主任にとっても必要な情報ですので要チェックです。
これまで、書籍「スウェーデンの老人ホーム/岡田耕一著」の紹介や、三回に渡って「日本のユニットケアはどうなっていくべきなのか?」という持論を掲載させて頂きました。
過去記事リンク▼
スウェーデンの老人ホームとの比較から、日本型ユニットケアの問題点を考える【書籍紹介】
日本のユニットケアは今後どうなっていくべきなのか(1 / 3)
日本のユニットケアは今後どうなっていくべきなのか(2 / 3)
日本のユニットケアは今後どうなっていくべきなのか(3 / 3)
これらの記事がきっかけで現役介護職の方々から沢山の反響の声を頂きました。本当にありがとうございます。
実はこの度、そうした反響を頂く中でスウェーデン在住の日本人介護士の方とコンタクトを取ることが叶いまして、私、大変興奮しております。
日本の特養での経験を持ち、現在はスウェーデンの老人ホームで働いているAさん。
今回、Aさんにスウェーデンの老人ホームの実態を色々と伺いましたので、そのインタビュー内容をご紹介させて頂きます。
※Aさんの個人情報、詳しい経歴等は伏せさせて頂きます。また、この記事についてAさんの情報についてお問い合わせを頂いてもお答えしかねますのでご了承下さい。
※今インタビューで得られたスウェーデンの情報は、Aさんの経験・知識・リサーチ等に基づくものですが、スウェーデンの一般論ではなく、ひとつの事例として受け取って頂ければ幸いです。